組織の規模として大きすぎるJAバンク

 農林中金は08年のリーマンショックの際にも、米国の低所得者向け住宅ローン投資で巨額の損失を出し、09年3月期に約5000億円の最終赤字に転落。JAを引受先として1.9兆円の資本増強を行った。1995年に浮上した住宅金融専門会社(住専)問題では、農林中金をはじめとする農林系金融機関から5兆円以上の資金が住専に入り、住専がそれにより不動産融資を拡大させ、生じた8兆4000億円に上る不良債権の処理のために6850億円の公的資金が投入された。当時、農林中金の無責任な投資による損失を穴埋めし、さらに農協を保護するために多額の税金が投じられたとの批判が出た。

「農林中金は農家をはじめとする農業関連従事者から集めた巨額の資金を、運用の失敗で再三にわたり“溶かしている”といえる。ノウハウ不足は明らかで、今後も数年ごとに同じような失敗を繰り返す可能性が高く、そのたびにJAに泣きつくわけにもいかないだろう。農業関連の資金ニーズの低下を踏まえれば、農林中金を含むJAバンク全体が組織の規模として大きすぎ、スリム化をはじめ抜本的な見直しを迫られている」(元JAグループ社員)

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?