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家族の飲酒運転を止めたアルコールインターロック

家族の飲酒運転を止めたアルコールインターロック

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=『MOBY』より 引用)

2024年6月7日、東海電子株式会社(以下、東海電子)が飲酒運転防止に関するプレスリリースを発表しました。主な内容は、同社のアルコールインターロック「ALC-ZERO」を個人で使用した方へのインタビューの紹介となっています。

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=出典:飲酒運転を止める機器“アルコールインターロック”で地域社会を安全に。,『MOBY』より 引用)

アルコールインターロックとは、アルコールチェックをパスしないとエンジンがかからないようにする車載装置です。基本的には法人向けの装置ですが、東海電子では個人への提供体制を整えています。

上記プレスリリースでは、自家用車へのALC-ZEROの装着により、父親の飲酒運転を防止できるようになった2組の家庭が紹介されています。アルコールインターロックのどのような機能が、一般家庭の悩み解決に役立ったのでしょうか?

アルコールインターロックの機能

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=出典:飲酒運転を止める機器“アルコールインターロック”で地域社会を安全に、『MOBY』より 引用)

アルコールインターロックの有効性を知るために、ALC-ZEROシリーズ(2機種)の主な機能を見てみましょう。

  • 乗車時に息吹き込み式のアルコールチェックを実施
  • アルコール検知でエンジン始動を拒否
  • 専用PCアプリで動作記録を管理
  • アルコール測定時や運転中の顔写真をカメラで撮影(ALC-ZEROⅡの機能)

ALC-ZEROを個人使用した方のインタビューによると、なりすまし測定(他人がアルコールチェックを行う不正)の確認にカメラ機能が役立ったそうです。

なるほど、機能が充実したアルコールインターロックは、個人の飲酒運転防止に活躍してくれそう。ただ、こうした車載装置の使用には、乗り越えなければならないハードルがあるようにも思えます。

アルコールインターロック個人導入のハードル

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=出典:飲酒運転を止める機器“アルコールインターロック”で地域社会を安全に。,『MOBY』より 引用)

アルコールインターロックを個人の車に取り付けるには、「費用」と「オーナーの承諾」の2点をクリアする必要があります。特にオーナーの承諾は、家族にとって高いハードルとなるかもしれません。

アルコールインターロックの使用費用

アルコールインターロックの利用にはコストがかかります。東海電子のALC-ZEROの場合だと、本体価格は約14万円から(2024年6月現在)。この価格には、設置費用やメンテナンス費用などは含まれていません。

15万円するスマホがあることを思うと、ALC-ZEROの価格はさほど高額ではないかもしれません。とはいえ、初期コストに加えてセンサーの定期交換に費用がかかるため、利用を躊躇する方もいることでしょう。

オーナーの承諾(飲酒運転をしている当事者の承諾)

飲酒運転している当人にアルコールインターロック装着の話をすると、強く反発されるかもしれません。実際、東海電子のインタビューに答えたALC-ZERO利用者の1人は、父親と大喧嘩になり、装置の取り付けまでに1年以上を要しています。

法人のように合理的な決断で導入できれば話は早いのですが、個人の場合は説得に難航するケースが多そう。喧嘩を繰り返した末に、アルコールインターロックの装着を諦めてしまう方もいるかもしれません。

特別な装置なしで飲酒運転を止めるには?
アルコールインターロックの有効性は高いと思いますが、一般家庭で簡単に利用できる装置とはいえないのが現状です。それは仕方がないとしても、家族が常習的に飲酒運転をしていたら、何としても防止しなければなりませんよね。

特別な装置なしで飲酒運転をやめさせる方法はないのか、一般的な意見を集めてみたので次節で見てみることにしましょう。

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家族の飲酒運転をやめさせる方法はありますか?

家族の飲酒運転をやめさせる方法はありますか?

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=『MOBY』より 引用)

知恵袋サイトで「家族の常習的な飲酒運転をやめさせる方法はありますか?」と質問したところ、いくつかの回答をいただきました。その中から3つの回答を見てみましょう。

質問へのご回答3つ
「話し合うとか、車のカギを取り上げるとかですかね。でも、緊急性が高い場合は警察に通報すべきかもしれません(Kさん)」

「警察に捕まえてもらいましょう。車にGPSをつけて、飲酒運転しそうなときに帰宅ルートで逮捕してもらうのはどうでしょうか?事故を起こす前に捕まったほうが社会と本人のためですよ(Nさん)」

「本人に注意して治らないなら縁を切ってはどうでしょうか?そこまでしないと、ことの重大さに気付けない場合もありそうですしね(Tさん)」

今回いただいた回答には「警察に通報せよ」との意見が多く見られました。飲酒運転で事故を起こすよりは、逮捕されたほうが本人のため……なのかもしれません。ただ、Nさんのアイデアは、GPSの取り付けが違法になりかねないので現実的ではないかも。

また、前述のALC-ZERO利用者のインタビューによると、警察に相談しても「現行犯でないと逮捕できない」と言われるだけで、取り締まりしてもらえなかったとのこと。警察に捕まえてもらって問題解決!とはならないのが現実のようです。

医療機関への相談は有効か?
余談になりますが、「業務車両からビールの空き缶がみつかり、飲酒の疑いでドライバーが解雇された」という話を筆者の元同僚から聞いたことがあります。運転業務中に飲酒するぐらいですから、解雇された人はアルコール依存症だったのかもしれません。

家族の飲酒運転対策に話を戻すと、知恵袋サイトにいただいた回答には「病院や保健所などで相談しては?」との意見もありました。なるほど、アルコール依存症が原因で飲酒運転を繰り返しているなら、医療機関への相談が必要となるでしょう。

ただ、依存症の治療を受けるか否かは、基本的に本人が判断することです。症状の深刻さによっては強制入院もあり得るようですが、そのレベルになるまでに事故を起こす可能性もあるのが悩ましいところです。

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結局はアルコールインターロックが有効なのかも

結局はアルコールインターロックが有効なのかも

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=『MOBY』より 引用)

企業で従業員の飲酒運転が発覚した場合、事故が起きる前に解雇すれば、雇用主は責任を逃れられます。一方、家族の場合は同じようにはいきません。仮に絶縁したとしても、飲酒運転で大事故が起きれば、世間は家族を非難するでしょう。

……というわけで、家族が飲酒運転していても逮捕や強制入院は無理、絶縁しても世間の目からは逃れられません……って、じゃあどうすればいいの?って感じですよね。

一般的な防止策には限界がある。それならば、結局はアルコールインターロックを上手く活用したほうがいいように思えます。ネックとなるのは装着ですが、問題をクリアするためのヒントは海外にありました。

海外のアルコールインターロック事情
東海電子が運営するウェブサイト「アルコール・インターロック.com」によると、アメリカやカナダ、台湾などの諸外国では、アルコールインターロックの法制化が進んでいるそうです。

たとえば、アメリカの一部地域(30州+コロンビア特別区)では、飲酒運転違反者にアルコールインターロック装着を義務付けているとのこと。一度捕まらないと装着させられない点がネックですが、通報して逮捕してもらうこともアメリカなら可能かもしれません。

アルコールインターロックの法制化と進化に期待

「飲んだら乗るな」から「飲んだら乗れない」にどうしてならない?呼気をチェックし始動不可になる“アルコールインターロック”…普及のハードルとは?
(画像=『MOBY』より 引用)

もし、日本でアルコールインターロック装着が法制化されれば、飲酒運転による交通事故は大きく減少すると予想されます。また、アルコールインターロックの認知度が高まり、より簡単に取り付けられる装置が開発されて普及するかもしれません。

厳罰化されてひさしい現在も根強く残る飲酒運転問題。家族と社会の双方が守られるように、アルコールインターロックの法制化と進化に期待したいところです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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