デジタル時代にこそ光るアナログの魅力

1982年のCD誕生以降、80年代のピークから生産が激減したアナログレコード。音楽愛好家や音にこだわる層に支えられてきた。DJやコレクターにとっては貴重な財産であり、ライブやレコーディング、DJセットなどに頻繁に使用されている。

2007年には「レコード・ストア・デイ」というイベントがアメリカで誕生。毎年4月の第3土曜日と11月のブラックフライデーに開催され、イベント参加店舗でだけ特別生産レコードが販売される。2015年には日本でもレコードメーカーの東洋化成が11月3日の「レコードの日」にイベントを開始。2016年にはレコード製造販売プラットフォーム「QRATES」にて卸販売システム「Store Delivery」が始まり話題になった(同サービスは現在リンク切れ)。

上のグラフからもわかるとおり、2010年に底をうった後はレコードの売り上げは少しずつ回復していた。また、ブーム前のパンデミック当初に一旦は減少している。多くのレコード店が閉店を余儀なくされるなどしたほか、製造や流通にも影響が出たとされる。

その後の人気は上述のとおりだ。目の前のフィジカルな「盤」から生み出される音の豊かさや深み、美しいジャケット、ターンテーブルでレコードを回す独特の感覚に、多くの人が惹き寄せられている。一過性のブームに終わらず、今後も成長が続きそうだ。

(文・根岸志乃)