3alexd/iStock

日本政府は2050年CO2ゼロ(脱炭素)を達成するためとして、「再エネ最優先」でグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を進めている。

だが、世界情勢の認識をそもそも大きく間違えている。

政府は「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5度に抑制する。その為に日本も脱炭素を達成する責務がある。いま脱炭素に向けて国際的な産業大競争が起きている」としている。

だがこれは本当か?

気候変動問題のために、ロシアが石油を減産し、天然ガスの輸出を止めるだろうか? そんな筈はない。ロシアにとって、石油と天然ガスの収入は、国家経済を支えるものであり、莫大な軍事予算を可能にするものだ。

そのロシアの石油を買っているのは中国とインドで、どちらも日量200万バレルという莫大な量を買っている。

たしかに多くの国はCO2ゼロを宣言している。だが実態を伴わず、本当に熱心に実施しているのは、日本と英独など、欧州の数か国ぐらいだ。

米国はといえば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は猛烈に反対してきた。実際のところバイデン政権の下ですら、米国産業は世界一の石油・ガス生産量を更に伸ばしてきた。