神童ヤマルの爆発的なスピードと無限の可能性

この試合で【4-3-3】の右ウィンガーとして先発したスペインのヤマルは、16歳338日でユーロの史上最年少出場記録を更新した。これまでの記録はユーロ2020のスペイン戦に出場したポーランド代表MFカツペル・コズラウスキー(フィッテッセ)の17歳246日だった。

ヤマルはバルセロナで2023年4月に15歳でデビューし、51試合に出場し7得点。ラ・リーガの最年少得点やUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の最年少先発といった記録も保持する。スペイン代表デビューは2023年9月のユーロ予選ジョージア戦で、スペイン史上最年少出場と最年少得点の記録を更新した。

この大一番でルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、スペイン代表8試合目となるヤマルを先発させた。後半の立ち上がりにあと少しで得点できそうなシーンもあったが、スペインの3点目をアシストしてしっかりと結果を出した。当然、これも最年少アシスト記録だ。大会の最年少得点記録の更新も予感させる。

86分にベンチに退いたヤマルだが、初めての大きな国際大会とは思えないようなリラックスした動きで、その根拠となる実力もしっかり備えている。相手選手に体を寄せられても冷静に対処。緩急のあるドリブルが冴えわたり、縦に抜け出した時にトップスピードになると、周囲のクロアチアの選手がまるで軽いジョギングをしているのかと錯覚するくらいの差があった。

体のしなやかさと爆発的なスピードは、まるでFWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)がフランスでデビューした頃のようである。クロアチアのMFルカ・モドリッチ(38歳/レアル・マドリード)がディナモ・ザグレブでデビューした頃、ラミンはまだ生まれていなかったのだから、どれだけ若いか分かるだろう。

ラミンはユーロ開催中の1ヶ月間で、どんどん成長してゆきそうだ。そのくらい伸び盛りで、選手として計り知れない伸びしろを感じさせた。


アルバロ・モラタ 写真:Getty Images

スペイン主将モラタ負傷交代の影響は?

同試合前半29分にファビアンのアシストで先制点を決めたスペイン主将のモラタだが、67分に負傷で倒れ込みピッチを退いた。ベンチに座ると、顔をしかめながら左大腿部のアイシングを繰り返した。

次の試合は6月21日(日本時間)前回王者イタリア戦である。間に合うか気になるところだ。