1995年に発掘された古代の彫像が4300年前の失われたエジプト王のものだと判明した。なぜ特定にこれほどの時間がかかったかということ、なんと、この彫刻が発見されたのはエジプトではなく、ガリラヤ湖の北、フーレ湖の西南8kmにあるイスラエルの古代都市ハツォルだったからだというのだ。
■研究者困惑、イスラエルで発見された彫像が古代エジプトのファラオだと判明
英紙「Daily Mail」によると、古代エジプト芸術で使用されていた、グレーワッケ(硬砂岩)と呼ばれる堆積岩で作られていることも分かっており、エジプトの像がイスラエルに持ち込まれた歴史を巡り、研究者が頭を抱えているという。
同彫像を調査した考古学者サイモン・コナー氏とディミトリ・ラブリー氏によると、顔面の特徴から、紀元前2498年頃~紀元前2345年頃のエジプト第5王朝のファラオを象ったものであることは間違いないとのことだが、一体どのファラオであるかは依然特定できておらず、何故エジプトではなくイスラエルで発見されたのかも分からないという。
「短く密度の高い巻き毛のウィッグを被っており、その上には古代エジプトの主権、王権、神性の象徴である蛇形記章(ウラエウス)が掘り込まれています。これは疑いなくエジプトのファラオのものです」(コナー氏) 「この像がイスラエルに持ち込まれた理由について仮説はいくらでもありますが、結論は出ていません。ハツォル王国が、エジプト王族の威光を示すことを熱望していたことは間違いないでしょうが、極めて複雑な歴史です」(同)
古代イスラエルの都市ハツォルは、紀元前3000年頃から形成され、前13世紀頃まで拡大を続けたという。『旧約聖書』に登場するユダヤ人指導者ヨシュアにより破壊され、後に再建されるも、前733年にはアッシリア軍によって完全に破壊されたと言われている。ヘブライ大学の研究者によると、ハツォルは “あらゆる宗教にとって最も巨大で最も重要な都”だったとのことだ。同他にも、エジプト由来と思しきスフィンクス像の一部も発見されているという。