6歳未満の子どもを車に乗せるときには、チャイルドシートに着座させることが法律で義務づけられています。しかし公道を走っていると、車内で席を立っている幼児の姿を目にすることは珍しくありません。

2023年に警察庁とJAFが合同で実施した「チャイルドシート使用状況調査」によれば、チャイルドシート使用率は「76.0%」と、およそ4分の1が幼児をチャイルドシートに乗せていない実態が明らかになりました。

さらにチャイルドシートを使っていても、実際に子どもを正しく座らせているケースは「47.9%」に過ぎず、半分以上が「適切ではない座らせ方」をしていることがわかります。

チャイルドシートの未装着や不適切使用が、痛ましい事故につながる例も見られるなか、依然として正しい装着方法が定着していないことにはどのような背景があるのでしょうか。

今回はドライバーや乳幼児の保護者の方々に、「身近にあったチャイルドシートの不適切使用」についてのエピソードを聞きました。

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義父に保育園送迎を依頼、後に発覚した恐るべき事実

義父に保育園送迎を依頼、後に発覚した恐るべき事実

「子どもが嫌がる」「窮屈でかわいそう」チャイルドシートはなんのため?“子どもを守れない座らせ方”に怒りの声
(画像=@beeboys/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

チャイルドシートを適切に装着できていないケースとして、「子どもが嫌がる」という理由が考えられます。保育園の送迎など「時間に余裕のない場面」や、短時間の移動など「リスクが小さいと思えるような場面」においてはとくに、ベルトを装着せずに出発してしまうケースが少なくないようです。

「夫と子ども2人と義理の実家に同居しているのですが、夫婦ともに帰宅時間が不規則で、週に1回~2回は義父に保育園のお迎えをお願いしています。とてもありがたいのですが、どうやらチャイルドシートをちゃんと使ってくれていないみたいで、2人ともシートに乗せるだけでベルトを締めずに出発してしまっているようなんです。

4歳の上の子を自分の車に乗せるとき、『なんでこの車に乗るときは、カチってするの?』と聞かれて……そこではじめて、義父の車ではバックルを締めていないことが発覚しました。

夫が義父に聞くと、『キツくてかわいそうだから』と言うのですが、ウチの車に乗せるときには2人とも割と素直に座ってくれるんです。もしかすると、義父が単純に面倒なんじゃないかなと。夫はかなり強く言ってくれたので、ちゃんと乗せてくれればいいんですけど。

乗車時間は5分くらいですが、それでも安全に関わることですし、今後も同じことを続けるようならちょっと考えないとですね」(30代女性)

慣れた道を少し運転するだけでも、道路にはさまざまな危険が存在します。どのような場面でも「万が一」は考えられますので、「ちょっとそこまでだから」と横着せず、毎回しっかりとチャイルドシートに着座させることが重要です。

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こんなユルユルじゃベルトの意味が…

こんなユルユルじゃベルトの意味が…

「子どもが嫌がる」「窮屈でかわいそう」チャイルドシートはなんのため?“子どもを守れない座らせ方”に怒りの声
(画像=©︎shirohige/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

お子さんによってはチャイルドシートを拒絶し、ベルトを締めようとしても暴れてなかなか装着できないといった状況も考えられます。毎回装着に苦労している親御さんも多いと思われますが、事故の際の被害を考えると、やはりどんなときにも正しく着座させることが大切です。

「休日、旦那に3歳の息子を見てもらい、ママ友の家に遊びに行きました。ママ友の旦那は仕事でおらず、2人で2歳半の娘さんを見つつ世間話をして、そのうち買い物に行こうという話になって。

ウチの車で行くことにしたのですが、娘さんはウチの子よりだいぶ身体が小さく、ベルトがユルユルなんですよね。ですがバックルを締めようとした瞬間、その子が『きつい、きつい』と泣き出してしまったんです。

ママ友は『いつももっと緩くしちゃってるんだよね』と言うのですが、ベルトと身体の間に余裕で拳が1つ入ってしまうような状態で……正直気まずい思いもありましたが、とてもそのままでは出発できず、『ごめんね、このままじゃ事故で飛んでっちゃうんだ』と、ベルトを締めてから出かけました。

ママ友はちょっと複雑そうな顔をしていましたけど、娘さんはしばらくすると泣き止み、大人しく座っていました。それから自分の家の車でどうなっているのか、聞いていないのでわかりませんが……」(30代女性)

もちろん子どもの特性は千差万別であり、他人が口を出すべきではない事情もあるかもしれません。しかしチャイルドシートの適切な装着は、子どもの安全のために最優先すべきものですから、事情を問わず「正しく座ってもらうための工夫」をしていきたいところです。

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妹家族の車にチャイルドシートを載せようとしたら…

妹家族の車にチャイルドシートを載せようとしたら…

「子どもが嫌がる」「窮屈でかわいそう」チャイルドシートはなんのため?“子どもを守れない座らせ方”に怒りの声
(画像=©vladdeep/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

チャイルドシートの形状や種類はさまざまであり、年齢や使用環境などによって選ぶべき製品も変わってきます。複数の車両間で1つのシートを使い回す場合には、脱着が容易な製品が好まれる製品がありますが、「自分の車にチャイルドシートを載せたくない」と考える人もいるようです。

「妻と2歳の娘と、実家から車で10分ほどの場所に住んでいます。実家で父の車に娘を乗せることもあるので、実家にも1台チャイルドシートを用意してもらっているんですね。

それで、この間の長期連休に妹夫婦が帰省してきた際、みんなで近くのレジャー施設に遊びに行くことになって。駐車料金が高いので、一番大きな妹家族のミニバンに同乗して行くことになりました。

ウチの子も乗れるよう、実家のチャイルドシートを妹夫婦の車に装着しようとしたら、妹の旦那が『やりますよ』と言ってきたんです。妹夫婦には子どもがいませんし、少し不安でしたが、とりあえず装着をお願いして。ですがいざ娘を乗せようとしたら、ガタガタ揺れてまったく固定できていなかったんですよね。

これはまずいと思い、『動いちゃうから、つけ直すね』と固定して、一件落着と思いきや……1週間ほどして、妹から『旦那がチャイルドシートの跡が落ちないって』とメッセージが来たんですよね。跡を直すのに1万円くらいかかるから、負担してほしいと。

跡がイヤなら駐車場代を払ってでもウチの車と2台で行ったのに……と思いつつ、1万円で揉めるのも面倒なので、素直に払って終わりました。今後、妹の旦那とはなるべく距離を置こうと思います」(30代男性)

チャイルドシートの不使用や、不適切な取りつけは、万が一の事故の際に子どもに深刻なダメージを与える可能性が飛躍的に高まります。警察庁の資料によれば、チャイルドシート不使用時における子どもの致死率は、適正使用時の約4.2倍に上るとのことです。

どのような事情があったとしても、大切な子どもに取り返しのつかない被害が及ばぬよう、チャイルドシートはなるべく安全基準に適合した製品を選び、しっかりと車両に取りつける必要があります。そのうえで、ベルトの締めつけやハーネスの高さなど体格にあわせて調整することが欠かせません。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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