Xyteは、イスラエルと米国を拠点に、デバイス・ハードウェアメーカー向け管理プラットフォーム「Xyte Device Cloud(以下、XDC)」を展開しているスタートアップ。

同プラットフォームは、メーカーがハードウェアのサブスクリプションである“ハードウェア・アズ・ア・サービス(Hardware-as-a-service:HaaS)”事業を実行するためのクラウドである。

そんなXyteが、今年1月に3000万ドルの資金調達を行ったと発表。調達資金のうち2000万ドルは、Intel Capitalが主導し、Samsung Nextおよび既存の投資家であるS CapitalとMindset Venturesが参加したシリーズAラウンドで調達したもの。この資金は主に米国とヨーロッパでの事業展開に使う計画だ。

BlackRockからの借入枠である1000万ドルは、メーカーのHaaSモデルへの変革を資金面から支援するために使う予定だという(参考)。

産業サービス化のトレンドの先にあるHaaSモデル

SpotifyやNetflixなどのデジタルコンテンツ、ソフトウェアの世界でオンデマンドのサブスクリプションモデルが当たり前になってからずいぶんと時が経つ。

これは「顧客を獲得して売り切って保守するフロー型ビジネスモデル」から、「顧客と関係性を築くストック型サブスクリプションモデル」への変革であった。また顧客からみれば「所有する」から「使用する」へのパラダイム変革でもある。

顧客に優れたCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験・顧客経験価値)を提供することがビジネス成功の第一の要因であるとの認識が広がったことが、その背景にある。

HaaSモデルへの変革は、顧客コミュニティとの長期的な関係を構築し、その関係をてこにして、企業に継続的かつ安定的な収益をもたらすことを意味する。

ハードウェアやデバイスの分野においても、HaaSモデルの事例が数多く登場している。日本でも自動車のサブスクリプションサービスなどが登場しているため、身近な話題だ。

HaaSモデルでは、顧客はハードウェアの使用料金を定期的に支払うが、そのハードウェアを購入する必要はない。メーカーやサービスプロバイダーは、必要に応じてハードウェアの監視、保守、更新、アップグレード、および交換の責任を負う。高額な料金を最初に支払うことなしに、保守が行き届いた最新の製品を利用できることが優れたCXに直結するのだ。