サービス停止が長期化の様相を呈している背景

 今回のKADOKAWAの障害は8日未明に発生し、11日21時現在、いまだに復旧のメドは立っていないが、長期化の様相を呈している理由について、ITジャーナリストの三上洋氏はいう。

「ニコ動の責任者でドワンゴ取締役の栗田穣崇氏が随時アナウンスするかたちで情報の発表はきちんと行っており、11日夜に栗田氏が登場した配信では、8日夜から11日夜にかけて『ずっと攻撃を受けている』という状態とのこと。サイバー攻撃の方法はわかっていませんが、DDoS攻撃や侵入されてのウイルス感染などが考えられます。DDoS攻撃の場合、ネットワークを切り離すなどの対策をすれば障害は解消されるケースが多いですが、ニコ動はシステムを再構築すると言っており、DDoS攻撃ではない可能性があります。再構築するということは、ウイルス感染によってシステムやデータが壊れていて復旧できない可能性や、ランサムウェア攻撃を受けて『データを暗号化したので身代金を払え』と脅されている可能性も考えられます。ニコ動は複数回にわたり情報を発信しているものの障害の原因については詳細を明らかにしておらず、原因がランサムウェアであった場合、それを公表すると加害者に情報を与えてしまう恐れがあるので、公表していないのかもしれません。

 そして、もし仮にランサムウェアの場合、データのみならずプログラムを含めたシステム全体が暗号され、加えて既存システムにウイルスが潜伏している可能性があるため、新規のハードウェアを調達するなどしてそこに一からシステムを構築する必要が生じるかもしれません。そうなるとバックアップシステムから戻せばよいとはいかず、かなり重い作業となり普及時期のメドもわからないという状況になります」

 前述のとおりニコニコ運営チームは「システム全体を再構築する」としているが、これをめぐり以下のようにさまざまな反応が寄せられている。

<被害状況調べながら攻撃防ぎながらのシステム再構築って>

<元インフラ系の人間としては、身につまされる思いです>

<ものすごい決断>

<再構築。IT屋の嫌いな言葉です>

 大手SIer社員はいう。

「本番環境で障害起きた場合はバックアップ環境から戻すというのがセオリーだが、それだと、もし再びサイバー攻撃を受けると耐えられないことが分かったため、より高度なセキュリティー対応を施したシステムを構築し直す必要が生じたということではないか。すでにシステムが存在するのでゼロからではないにしても、設計から見直して、新規にハード環境を準備して構築を行うことになるため、かなり重い作業となる。再びサイバー攻撃を受ける可能性を意識しつつ、それを防御する仕組みも構築する必要があり、ドワンゴの力をもってしても1カ月くらいかかる可能性もある」

(文=Business Journal編集部、協力=三上洋/ITジャーナリスト)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?