アジア・アフリカ諸国では今、「サプライチェーンの単純化・一本化」を目指すスタートアップとサービスが次々と登場している。TechableでもインドネシアのChickin、フィリピンのKita、ガーナのAgrocentaなどを紹介してきた。
これらの企業が取り組む「中間業者問題」は、複数の中間業者が流通過程に介在してマージンを搾取することで小売価格が跳ね上がり、生産者は正当な対価を奪われるというものだ。
しかし、地域に根付いた仲介・中間業者は、地元住民しか知らないような零細店舗の存在を把握し、細いながらも貴重な流通ネットワークを構築している。すべての業者をまとめて悪と決めつけ排除するような「スマート化」は、方向性として正しいのだろうか?
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Image Credits:Baskit
小売店舗ではなく仲買業者を支援するサービス
Baskitの提供するB2Bマーケットプレイスは、主に「ワルン」向けの商品を取り扱う。ワルンとは、雑貨屋と食料品店を兼ねる小規模小売店舗だ。Flourish Venturesの2022年調査によると、インドネシアには350万ものワルンが存在し、国内食料品売り上げの70%を占めるほど。
ワルンはWarung PintarやBukalapakなどが提供する専用アプリによってデジタル化が進んでいる。一方、Baskitが提供するのは「ワルンに商品を提供する仲買業者」に特化したサービスだ。
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Image Credits:Baskit
仲介業者を排除した単純直送は困難
ではなぜ、Baskitはこのサービスを直接ワルンに提供しないのだろうか? 同社公式サイトにその答えが書かれている。「サプライチェーン事業者たちは、何十年にもわたってインフラと関係性を築き上げてきました。それをより良く・速く・強くできるのだから、排除する必要はありません」とある。
Baskitは、より効率的な道路を新設するのではなく、既存の道路を舗装する発想でサービスを展開しているのだ。
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Image Credits:Baskit
その役割を果たすのが、地域に密着した仲買業者である。Schuermans氏は同記事で「仲買業者の子供も、ワルン店主の子供と同じ学校へ通っています」と語っている。