自民党の方針がバラバラではないか。今国会中の憲法改正原案の国会提出は諦めたのか。中谷元筆頭幹事の考えを確認したい。
やる気がわずかでも残っているなら、来週はせめて「要綱形式」で議論をしよう。もう時間はない。もし、今国会で改正原案の提出にすら至らなければ、それは自民党総裁としての総理の責任にも直結する。発議なんて夢また夢だ。
私たち国民民主党が「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」の条文案をまとめてから1年半、維新や有志の会とともに3党派の共通条文案を作ってから丸一年が経過した。この間、自民党は何をしていたのか。2018年に4項目のたたき台素案を提示してから6年以上経ても、条文案へのアップデートすらしていないではないか。
やるならやると覚悟を決めて、スケジュールを決め、戦略的に取り組んでもらいたい。例えば、本気で今国会で憲法改正原案の国会提出を進めたいなら、野党案を上回るような政治改革案を出して、国会をもっと円満に運営すべきだったのではないか。今のような裏金を許すザル法では国会が混乱するのは当たり前で、憲法改正に向けた戦略的な取組ができていないことには苦言を申し上げておく。
残りの時間は、立憲民主党の本庄幹事が質問に答えてくれたので再質問する。
まず、大規模災害が発生して選挙が困難な時に(公選法57条の)繰延投票で対応できるとの主張だが、それならなぜ東日本大震災の時にも繰延投票で対応しなかったのか。選挙委員会が選挙の実施可否を正しく判断できるというが、2011年7月13日に福島県選挙管理委員会が、議員任期の半年延長を定めた特例法の再延長を衆参の特別委員会に要請している。発災から半年経っても選挙事務に人員を割くことができなかった。大規模災害時には、選挙管理委員会も機能しないし、長期にわたって国会議員がいなくなる事態を生じさせる判断を選挙管理委員会に委ねるべきではない。 議員が辞任して補欠選挙が行われるまでは長期に欠員が生じても問題ないと言うが、それはあくまで少数の欠員が対象であって、私たちが問題としている「選挙の一体性が害されるほど広範に」「長期にわたって」選挙が困難な事態に、あてはめるべき話ではない。 長期にわたって選挙ができず議員がいなくなっても、参議院の緊急集会で対応できるというが、私たちは、70日を超える長期にわたって参議院の緊急集会で対応するには憲法上限界があると考える。いわゆる「スーパー緊急集会」を認めるなら憲法改正が必要だ。やはり「長期にわたって」「選挙の一体性が害されるほど広範に」選挙が困難な事態、すなわち、選挙困難事態に備えて、選挙期日の延期とその間の議員任期の延長ができる規定を憲法に設ける必要があると考える。参議院の緊急集会で議論するテーマも、基本的には内閣が判断するので、行政権の権限が相対的に強まる可能性もある。国会中心主義を貫き、立憲主義を徹底するためにも、国会機能を維持する憲法改正が必要だ。
最後に、与野党各党に呼び掛けたい。国民投票広報協議会の機能に関して、フェイクニュース対策の議論が行われているが、憲法審査会での議論の現実を、変な煽りを入れずに、それぞれの支援者に説明してもらいたい。
例えば、今の自民党の9条改正案によって、違憲論が解消されるとともに自衛隊の権限が大きく拡大し新たにできることが増えるような説明をするのもフェイクだし、一方で、9条改正で、帝国陸海軍が復活し軍国主義日本が復活するかのごとき説明もフェイクだ。具体的な法令の整備も含めて自衛隊が実際にできることは規定されるのが現実だ。
ネット上のフェイクニュースを心配する前に、私たちが極力扇動的な言葉や行動を控え、冷静な憲法論、法律論を展開することが最大のフェイクニュース対策になる。このことを申し上げて発言を終える。
編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2024年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。