今月のFIFAワールドカップ北中米大会アジア2次予選で日本代表招集外のFW浅野拓磨は、今季限りでブンデスリーガ(ドイツ1部)VfLボーフムを退団。去就に注目が集まる一方、依然としてセルビア1部パルチザンからの給与が支払われていない模様。同クラブはすでに浅野との裁判で敗訴が確定しているが、財政難により元ジェフユナイテッド千葉所属FWマテウス・サウダーニャの放出で資金を捻出する方針だという。
浅野は2019年7月からパルチザンでプレーしていたが、2021年5月2日に突如クラブとの契約解除を発表。自身のブログを通じて「クラブによる度重なる給与の未払い、またそれに対する不誠実な対応によりクラブからのリスペクトを感じられなくなってしまった事がこの決断の理由です」と不満を爆発させた。
これに対して、パルチザンは浅野の退団が契約不履行に当たると主張したほか、ボーフムに対しても、移籍金の支払いを要求。同選手やボーフムを相手取り訴訟を起こしたものの、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は浅野の退団が「正当な理由による契約解除」に当たると判断。西部ドイツ新聞が今年4月に報じたところによると、浅野に対して未払い分の給与額453281ユーロ(約6200万円)と5%の利息、同選手の滞納していた家賃などを支払うよう、CASはパルチザンに命じたという。
セルビアメディア『sport klub』は今月1日、浅野への給与未払い状態が続いていることを理由に、国際サッカー連盟(FIFA)がパルチザンに対して1年半の補強禁止処分を科したと報道。これによると、パルチザンは浅野のみならず、FWネマニャ・ヨヴィッチなど複数選手との間でも給与未払い問題を抱えている模様。
また、同メディアは先月27日に「サウダーニャのパルチザン退団は確実。トルコ1部フェネルバフチェへ移籍予定であり、移籍金1000万ユーロ(約16億9000万円)がパルチザンに支払われる」とリポート。現在24歳のサウダーニャは千葉で出場機会に恵まれなかったものの、昨年夏にパルチザンへ移籍してから本来のパフォーマンスを発揮。2023/24シーズンのセルビア1部リーグ27試合出場で17ゴールを挙げると、今年1月にはセビージャ、バレンシア、フェネルバフチェなど欧州複数クラブからの関心が報じられていた。
なおブラジルメディア『グローボ』は昨年12月、パルチザンが買い取りオプション行使により、サウダーニャを完全獲得した際、パルチザンから千葉に支払われる移籍金額が130万ユーロ(約2億円)だと報じていた。同選手がステップアップ移籍するとなれば、千葉へ連帯貢献金が支払われるほか、浅野の給与未払い問題解決も期待される。