ウーバーイーツがアルゴリズムを変更した結果、自転車で配達しているスタッフは稼げなくなったと話題になっている。しかし、長らくウーバーイーツで配達しているというスタッフは、一時的なものではないかとの見方を示す。

 米ウーバーが立ち上げた、オンラインで飲食品などを注文したり、配達を受注したりするプラットフォームであるウーバーイーツは、日本では2016年からサービスが始まった。配達を依頼する人は、ウェブブラウザやスマホのアプリから、提携している飲食店の商品を選んで注文する。

 一方で配達員は、好きな時にアプリから好きな場所で配達を受注して稼働することができる。自分のタイミングで仕事ができ、しかも短時間でも収入を得ることができるため、副業としている人も多い。ウーバーイーツの配達員となるためには、事前に身分や報酬の受け取り口座などを登録し、合わせて自転車・原付自転車・事業用車両のいずれで配達するかも登録する必要がある。

 さて、そんなウーバーイーツに関し、5月の連休明けあたりから「アルゴリズムが変更され自転車でまったく稼げなくなった」との声が出ている。SNS上での投稿を見ると、「バイク配達員が優先され、自転車の配達員は仕事が激減している」「自転車で配達すると時給換算で100円くらい」といった投稿が散見される。

 ウーバーイーツの配達員を6年務めているライターの渡辺雅史氏は、一時的な現象ではないかとの見方を示す。

「ウーバーイーツのアルゴリズム変更は頻繁に行われていますが、どのような変更がなされたのかは明らかにされていません。エリアごとに変更されるので、どの地域で、どのような変更がされているかは推測の域を出ないのです。

 とはいえ、自転車よりもバイクのほうが仕事を振られやすいという傾向は以前からあります。例えばコストコの商品は自転車配達員には任せられない、といったこともあり、バイクのほうが稼ぎやすいのは事実です。

 今回のアルゴリズム変更で自転車での配達員は稼げなくなったというのも、事実とは違うかもしれません。実は毎年、4月~5月は稼ぎにくい傾向があります。ウーバーイーツは誰でも登録でき、簡単に働き始めることができ、手っ取り早く収入を得られます。そのため、新生活が始まった直後の4月~5月は毎年配達員が増える時期なのです。仮に注文数が同じでも、配達員が増えれば一人当たりの仕事は減ります。そのためベテランの配達員は、この時期、競合の出前館やWoltのほか、タイミーでマクドナルドのデリバリーなど、ほかの配達の仕事を掛け持ちして稼いでいます。

 おそらく、自転車で稼げないというのは一時的で、今後だんだんと元に戻ってくると思います」

 ウーバーイーツの配達員は個人事業主の扱いではあるが、2021年9月から就業中に交通事故などが起きた場合は労災保険の補償金が支給される対象になった。とはいえ、会社側は1円も負担しない完全自己負担型の労災保険のため、保険料が高額過ぎて割に合わず、加入する配達員はごくわずかだ。事故に遭った場合、保険による補償はあるが、配達員のSNSには「保険を適用したら配達員アカウントを停止(=クビに)された」とのコメントが散見できる。そんなこともあり、事故を起こしても適切に対処せず、その場から逃走してしまう配達員が頻繁に報告されている。特に自転車配達員の評判は良くない。

 そのためか、「これから法律が変わって自転車への罰則が厳しくなるから、自転車をやめてほしいのではないか」など、ウーバーの運営側が、バイクでの配達を優遇することで自転車の配達員を減らそうとしているのではないか、との見方もある。配達中の事故に関して、運営のウーバージャパンに責任を求める声も高まっている。過去には、配達中の事故でケガを負わせられた人が、配達員とウーバージャパンを提訴した事例もある。

 今後、自転車での配達は稼ぎにくくなりバイクでの配達に集約していくのか、それとも徐々に自転車配達の報酬も元に戻っていくのか、しばらく注視したい。

(文=Business Journal編集部、協力=渡辺雅史/ライター)

提供元・Business Journal

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