最新テクノロジーを駆使して保険を運営する
サービスを持続可能なものにしながら農家の金銭的負担を軽減するには、保険料金の適切な設定、申請に慣れていない農家のための手続きの簡素化、自動化による運用費の削減が大切である。Pulaは最新のテクノロジーを用いて、これらの課題に取り組んでいる。
同社は衛星データ、気象データ、過去の収穫のデータなどを分析し、保険料を正しく設定して保険商品を設計している。保険料の請求時には、農家はスマートフォンのアプリを用いて土地の特性情報を簡単に登録することが可能。さらには、AIを用いて現地の請求金額の査定が自動で行われている。
アフリカから世界へ広がるPulaの活動
Pulaは、国際連合世界食糧計画(WFP)と協力して、ケニアのキトゥイで農家に作物保険を提供してきた。過去3年間で、このプログラムは1,000人から約1万人の加入農家に成長し、補償額は76万6,000米ドルに上る。
2020年、Pulaはナイジェリア中央銀行と協力して、雨季に備えて約54万3,000人の農家を保険を提供した。
Pulaの活動はケニアだけにとどまらず、100以上の機関と連携しながら19カ国の1,540万人の農家にマイクロ保険を提供してきた。現地メディアで、CEOのThomas Njeru氏は「1億人の小規模農家に保険を提供することを目指しています。9年前には多くの人が拡張性がないと見なしていた斬新なアイデアが、今では22か国で数百万の小規模農家の実際のニーズを解決する証明済みの解決策となっています」と語っている。
Pulaの活躍により、世界中の農家が安定的な収穫を達成できるようになり、食料危機の解決につながることを期待したい。
(文・松本直樹)