政府・日銀が大型連休中に実施したとみられる円買い介入は、投機的な円売りを一時的に抑制する効果を発揮した。しかし、円相場はドルに対して5月30日に1ドル=157円台後半まで再び下落し、直近の介入前の水準に事実上戻った。米利下げ観測の後退で、市場が円売り・ドル買い材料とする日米金利の開きが依然大きいためだ。政府は、金利差が縮小するまで介入で時間稼ぎを続ける苦しい対応を迫られそうだ。

 財務省が発表した4月26日~5月29日の為替介入額は9兆7885億円。市場は4月29日に1ドル=160円台で、5月2日に157円台半ばで介入に踏み切ったとみている。介入は1年半ぶりで、月次の介入額としては過去最大となった。

 市場は今回の巨額介入について「投機筋の動きを抑え、米連邦準備制度理事会が利下げを始めるまでの時間を稼いだ」(大手銀行)とみる。

 ただ、米国のインフレ圧力は根強く、市場では利下げ開始は早くても9月以降との見方が強い。

 円相場は既に直近の介入前の水準を下回ったとみられ、市場では「160円に近づく前に再度介入が行われる可能性が高い」(外資系証券)との見方がある。一方「米国の反発を恐れて再度の介入は行いにくい」(先の大手銀行)との声も聞かれる。

 円が160円台まで急落したきっかけとなったのは、植田和男日銀総裁が4月26日に行った記者会見で、市場は植田氏が円安を強くけん制しなかったと受け止めた。介入による円安抑止効果は長続きしないだけに、事実上の円安対策として日銀が国債買い入れ縮小、さらには早期利上げを迫られるとの観測も出ている。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/05/31-21:07)

提供元・Business Journal

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