問われる東京都の責任

 では、やはり晴海フラッグの分譲住宅は「買い」とはいえないのか。

「周辺の晴海や月島、豊洲のタワーマンションは概ね坪単価600~650万円くらいが相場なので、それらと比べると晴海フラッグの坪単価500万円というのは高い水準ではありません。ただ、駅まで距離があるなどの立地を勘案すると“低めのストライク”という印象です」(牧野氏)

 前述のとおり晴海フラッグはもともとは東京都の都所有地が売却された土地に民間企業が建設したものであり、現状のようにマネーゲームの道具と化している点は議論を呼ぶ余地がある。

「通例として自治体が所有地を住居建設用途として民間企業に売却する場合、完成したマンションなどの住居販売について以下の3点を条件とします。

・一定期間の転売禁止
・法人への売却禁止
・サブリース用途の購入者への販売禁止

 これは、市民の税金で整備されてきた土地を安く民間企業に販売するため、できるだけ公平なかたちで安価に市民に住宅を供給しようという公共的観点に基づくものです。ですが今回の東京都による五輪選手村跡地の売却では、こうした制約が課されないまま相場の3割も安い価格で売られました。その理由はわかりませんが、結果として、多くの企業が転売などの運用目的で住居の購入に走り、抽選倍率266倍という狂乱的な現象が生じています」(牧野氏)

(文=Business Journal編集部、協力=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

提供元・Business Journal

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