東日本旅客鉄道株式会社を始めとする関東にある鉄道8社(※)は5月29日(水)、磁気乗車券からQRコードを使用した乗車券(以下、QR乗車券)への置き換えを2026年度末以降、順次実施すると発表。
※鉄道8社:京成電鉄株式会社、京浜急行電鉄株式会社、新京成電鉄株式会社、西武鉄道株式会社、東京モノレール株式会社、東武鉄道株式会社(以下、東武鉄道)、東日本旅客鉄道株式会社、北総鉄道株式会社
これに先立つかたちで、東武鉄道は「QR乗車券の導入による磁気乗車券の全廃」を推進する方針を盛り込んだ「グループ中期経営計画2024~2027」を4月30日(火)に策定していました。
鉄道会社で広がる磁気きっぷ廃止の動き。その背景には何があるのでしょうか。また、「鉄道8社」に含まれていない京王電鉄株式会社・東急電鉄株式会社・小田急電鉄株式会社へ今後の方針をたずねました。
磁気きっぷ廃止の理由は?
磁気きっぷの廃止の推進をはじめに公言した東武鉄道によれば、改札でスマートフォンでの利用を含むICカードの利用者の割合は約95%。その他の磁気きっぷを含む媒体については約5%だといい、普段から鉄道を利用する習慣があるという人はICカード利用者がほとんどという傾向を示すようです。
改札で使用する乗車券をICカードとQRコードをかざす形式の乗車券に絞ることで、メンテナンスの修理費用や頻度自体が下がるそうです。
改札機の不具合による利用者のストレスや混雑を減らし、自動改札機の管理コストを下げられることから、打ち出された方針だといいます。
さらに、ICカードでは対応できない根強く残る「物理チケット需要」も、QRチケットを紙で発行することで対応できる目処がついたことも、理由の1つということです。
長く使われてきた磁気きっぷが廃止されることに、東武鉄道は「読み取り方式が磁気からQRに変わるものの、利便性に差異はないと考えています」と回答しています。
クレジットカードやQRカード決済も
現在、きっぷの電子化としては、ICカード以外にも、クレジットカードやQRコードを使った決済などの取り組みも広がってきました。
クレジットカードでのタッチ決済では、SuicaやPASMOのような交通系ICカードを持たない外国人や国内観光客も、気軽に改札を通過し電車に乗ることができます。関東や福岡、関西など全国各地で導入が進んできています。
また、QRコードを使った決済では、乗車券についてくる特典や直前での内容変更にフレキシブルに対応でき、企画乗車券などでも活用されているそうです。
提供:東急電鉄