【あなたの1日を教えてください・Vol.2】第一線で活躍しているビジネスパーソンを招いて、オンタイムとオフタイムの過ごし方や仕事上で心がけていることなどを聞く「あなたの1日を教えてください」。第2回は引き続きハイセンスジャパンの李文麗代表取締役社長を迎えて、主に仕事面で実践していることや考え方、目標などを聞いた。聞き手はBCN奥田芳恵代表取締役。(以下、敬称略)

コミュニケーションで異なる文化や考えを理解する
奥田 1日のスケジュールを拝見すると、平日は仕事上でのコミュニケーションを重視されているようですね。
李 はい。コミュニケーションは非常に大事だと考えています。どの企業にもそれぞれの企業文化があり、当社にもハイセンスジャパンの企業文化があります。特に当社は日本人の社員もいれば、中国人の社員もいます。企業文化の前に異なる国同士の文化を融合しなくてはなりません。
奥田 具体的に行っていることはありますか?
李 当社は日本と中国の重要な祝日のタイミングに合わせて食事やゲームなどの社内イベントを企画して、文化の相互理解や社員同士のコミュニケーション促進の機会を設けています。
このようなイベントのアイデアは、娘が通っている学校から学びました。娘はインターナショナルスクールに通っていて、生徒の国籍はさまざまです。文化の融合という意味で、イベントは一番効果的なツールと思います。
奥田 イベントを開催することで、お互いの文化を理解できるということですね。
李 はい。でも、文化だけではありません。社員同士の考えや意見、人間性、価値観などをお互いに理解し合うことも大事です。コロナ禍の数年間は、社員同士が一緒に飲食するイベントをなるべく控えるようになりました。
コロナ禍が明けて改めて考えると、幹部と一般社員の交流も含めて、その人を知るという意味でやはり社員同士の深い交流は必要と考えるようになりました。一緒に食事をすると仕事の話はもちろんですが、個人の話や家族の話などもします。そのことでお互いの距離が近くなります。
会社は言ってみれば大きな家族のようなもので、会社が成長するためには家族としても成長していかなくてはいけません。そのためには社員同士のコミュニケーションをより活発にしていくことが大事と考えています。

奥田 そのほか、コミュニケーション活性化のために実践していることはありますか?
李 当社には社長室がありません。私は社員と同じ空間にいますので、社員がいつでも私に相談や報告などをしやすい環境にしています。実際にみんな、気軽に私のところへ来てくれますよ。
奥田 その場で対応してくれるから、すぐに社長のところへ行こうという循環ができているのですね。
李 そうだと思います。もともと日本人は階層や等級を重んじる傾向があり、社長室を作るとみんなが私に相談や報告がしづらくなると思います。みんなのすぐそばに座っていれば話しかけやすいですよね。だから、みんなと同じ空間にいるというのは、非常に重要と考えて実践しています。

判断や決断を委ね、成長することで良い循環をつくる
奥田 平日と休日は、どのような意識で頭を切り替えていますか?
李 特に意識して切り替えたりはしていません。週末は朝起きる時間が平日に比べて遅くなるだけです。逆に奥田さんは切り替えていますか?
奥田 確かに(笑)。ほとんど意識をしていないというか、仕事のことが常に頭にはありますね。
李 かつては週末もずっと仕事で、仕事が頭から離れることはありませんでした。でも、今は週末にはなるべく仕事から離れるようにしていますので、特に切り替える必要がないのです。
社員数が少なかったときには、週末も多忙でした。でも、今は私よりも専門的な知識を持っていたり、得意分野を持っていたりする社員が増えており、彼らを100%信じて細かい判断や決断を任せています。
奥田 ある程度の判断や決断を任せて、最終的な決断は李社長がするというスタイルですね。
李 そうです。すべての判断や決断が社長に集中すると、責任もすべて社長になってしまいます。そうなると、自分で判断していないから責任はないということにつながりかねません。判断や決断を委ねることで必然的に社員は責任も負い、より早く成長できると思います。

と語る李社長(画像=『BCN+R』より 引用)
いつも社員に言っているのですが、ハイセンスジャパンは一つのプラットフォームを社員の皆さんに提供しています。そのプラットフォームの中でお金を稼いで生活することは大事ですが、その中で自己実現や成長していくことも非常に大事です。
社員が仕事を通して成長を感じられれば、もっと仕事にコミットメントできて、より良い製品を生み出すことができます。それによってお客様には、より良い製品やサービスを提供することができます。社員が成長することによって、そのような好循環を作れると考えています。