日銀が29日発表した2024年3月期決算によると、保有する国債の含み損は3月末時点で9兆4337億円(前年3月末は1571億円)に膨らんだ。長期金利の大幅上昇で国債の評価額が下落し、年度末としては過去最大となった。国債保有残高は前期比1.4%増の589兆6634億円と過去最大を更新した。 

 日銀は昨年7月と同10月、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作の運用を柔軟化。今年3月にはマイナス金利政策の解除に踏み切った。これにより、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは昨年3月末の0.3%台前半から今年3月末には0.7%台前半に上昇。保有国債の時価が簿価を下回り、評価損が拡大した。

 日銀は国債の満期保有を前提とした会計処理を採用しており、含み損は決算に反映されない。ただ、日銀の財務健全性への不安が高まれば、金融市場の混乱を招くリスクがある。日銀は「一時的に財務が悪化しても政策運営能力に支障は生じない」(植田和男総裁)としている。

 決算で、企業の純利益に相当する当期剰余金は2兆2872億円(前期は2兆875億円)と過去最高を更新した。株高で保有する上場投資信託(ETF)の運用益などが増加。3月末時点のETFの含み益は37兆円超に上った。剰余金から法定準備金や配当金の支払いなどを差し引いた2兆1728億円を国庫納付する。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/05/29-19:37)

提供元・Business Journal

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