何もかもがラグジュアリーで、最高の仕上がりだったベントレー ベンテイガ。運転は超しやすいし、めっちゃ静かで、めっちゃ速い! そして何よりも乗り心地が最高という素晴らしいクルマだったのに、「当時の俺には早過ぎた。分不相応という言葉を、あらためて学ばせてくれたクルマだった」と泣く泣く手離すことを決意した戸賀編集長。そんな傷心の彼が、次に手に入れることとなったセカンドカー(SUV)とは一体どんなクルマだったのでしょうか?

出版業界では、かなりのクルマ好きとして知られている戸賀編集長(トガ)。数々のクルマを乗り継いで来た彼が、10年に渡るメンズクラブ編集長という肩書を外し、忖度が無くなった状態のなかで、「どんな基準でクルマを選んでいたのか?」、「そのクルマの魅力はどこなのか?」等を大いに語ります。
話の聞き手は、戸賀編集長が雑誌編集者時代から30年来の付き合いを続けている、フリーランスエディターの菅原(スガ)。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみに!

菅原 愛車遍歴のセカンドカーシリーズでいくと、前のクルマはある意味で、究極のSUVといっても過言ではないベントレーのベンテイガだった訳だ。

戸賀 そう、俺に分不相応という言葉と、目に見えない壁の存在をあらためて教えてくれたクルマだった。

菅原 そうなってくると、次のクルマ選びって意外と難しいだろ?

戸賀 いや、意外とそうでもない(笑)。確かにベンテイガは、当時の俺には早過ぎたことは間違いない。だけど俺には次のクルマがすぐにでも必要だったんだよ。だって、足グルマが無くなったら仕事に支障をきたすしさ。

菅原 そりゃそうだ。

戸賀 で、次のクルマを探しながら、あらためてベンテイガでの生活を思い出したりしてみたんだけど、トラブルが起きると、俺が自分で運転して東雲までクルマを運び、帰りはタクシーで帰るなんてことをしていたんだよな。何となく俺がクルマに使われているような感じだし、今更ながら、やっぱり健全な関係性ではなかったと思う。そんなことを考えている時に、ふと頭をよぎったのが、メルセデスはサービス体制もしっかりしていたよなぁってこと。そして、やっぱり日常の足グルマにするなら、メルセデスが一番だよなぁ、ってことだった。

菅原 (次のクルマは、十中八九メルセデスだな)

戸賀 さらに、クルマを年がら年中買い替える飽きっぽい俺としては、下取りも大事になってくるんだよ。そこを考えても、値が落ちないメルセデスはいつでも気になる存在だった。

菅原 (値が落ちないメルセデス! たぶんアレだな)

戸賀 スガ、メルセデスのSUVで言ったら、やっぱりゲレンデのディーゼルかG63の下取りが高いのは間違いないよな。ということで、ゲレンデを探し始めようと思ったところで、大きな問題にぶち当たる訳だ。

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)

菅原 (やっぱりゲレンデか)でも、ゲレンデは前にも乗っていたから、今さら大きな問題はないんじゃないの?

やっぱり問題になってくるのは、立体駐車場なのだった

戸賀 スガ、J PRIMEでも何度も取り上げている、港区のマンション住まいにおける立体駐車場問題があるだろ?うちのマンションにある2.5トンまでOKな立体駐車場でも、ゲレンデはディーゼルもG63も無理なんだよ。どちらも2.5トン超えだからね。マンションにある平置きの駐車場が当たれば問題はないけど、それを待つ余裕は当然ない。ならばということで、他のメルセデスのSUVも見てみたんだけど、うちの立体駐車場にはGLSも入らないことが分かった。さらにサイズを落としてGLEの63にすると、問題なく駐車はできるんだけど、残念なことにクルマの内装に遊んだカラーがまったく無かった。遊び心が感じられなかったという感じかなぁ。そしてやっぱり、GL系はゲレンデに比べて下取りが弱いんだよ。港区が、ゲレンデのG63ばっかりでお腹一杯という状況の中で、あえてGLEの63を選ぶっていう選択肢はありだよなぁと、漠然と考えたことがあるのは間違いない。実際、今も気になる1台だけど、当時は触手が伸びなかったんだよ。

菅原 下取りが弱いのはネックではあるよな。で、悩んだ末にトガが選んだ1台は何だったの?

戸賀 俺が選んだ1台は、ゲレンデのG400D エディション マグノホワイトでした。家からタクシーで5分くらいのところに、平置きの駐車場を見つけることが出来たこと、さらに下取りを考えると他に選択肢が無かったという側面も、かなり影響しているけどね。

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)

菅原 やっぱりゲレンデか! そんな気配はプンプンしていたけど(笑)。ちなみにエディション マグノホワイトって、どういうモデルだったの?

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第26弾。あらためて「クルマは欲しいと言われた時が売り時」を実感した、ゲレンデの限定車
(画像=『JPRIME』より 引用)

戸賀 名前から分かるように、まずは限定車。限定車は下取り価格も安定するからね。カラーは人気のあったパンダという白黒のツートーンで、白も黒も艶消しだった。最初にディーゼルで出て、その後G63でも出たんだけど、残念なことに、なぜかディーゼルは右ハンドルしか設定が無かったんだよね。で、内装は白で、ダイヤモンドステッチを採用。このあたりは、まさに俺好みの仕上がりだった。このエディション マグノホワイトの前に、G400Dの限定車で、『マヌファクトゥーア エディション』っていう人気モデルがあったんだけど(特にブルーが大人気だった)、このモデルにも白の内装にダイヤモンドステッチが採用されていたんだよ。これをエディション マグノホワイトが継続採用したことを考えると、G400Dの限定車をあらためて下取りという視点から見た場合、「白の内装にダイヤモンドステッチ」は、外せない要素と考えて間違いはないと思うよ。

なぜG63を選ばずに、G400Dを選んだのか?

菅原 なるほど、説得力のあるプロのような視点だな(笑)。そう言えば、ちょっと気になっていたんだけど、このエディション マグノホワイトにはG63も用意されたんだろ? 当然、左ハンドルもあるよな? 何で左ハンドル好きなトガが、G63を選ばなかったの?

戸賀 そういうツッコミが来ることは予想していました。理由は簡単。奥さんにダメだって言われたからです(笑)。でも本当のところを言うと、G63のエディション マグノホワイトのプライスが約3000万円というのに驚いたんだよね。さすがに俺も、ちょっと強気の値付けだなぁと思った覚えがある。3000万円出すなら、またベンテイガが見えてきちゃうし、この頃には新しいレンジローバーも発表されていたから、ほかの選択肢がいくつも出てくるんだよね。俺もゲレンデには乗ってきたし、かなりラグジュアリーに進化してきたことはもちろん知っている。とは言え、3000万っていうのはちょっと違うんじゃないか? ってその時、普通に思っちゃったんだよね。だから妻に反対されても、スッと腑に落ちたっていう感じがあった。それにこの頃は、俺の中で、ディーゼルに対するイメージがかなり良くなっていたというのもある。前にスガに書いて貰ったE220dもそうだし、後輩が何人か乗っているゲレンデの400Dも本当に良いクルマだった。だからディーゼルに対するネガティブな考えは一切なかった。右ハンドルって部分だけは、ちと残念ではあるものの、右ハンドルであるが故の不都合さはまったく無いし、この時は、限定車の魅力、そしてメルセデスのディーゼルの素晴らしさに負けて、G400Dを購入したってところかな?

菅原 ちなみに、このクルマはどのくらい所有したの?

戸賀 11か月くらいだったかな? やっぱりタクシーに5分乗って駐車場に着いて、そこからようやくクルマに乗れるっていうのが良くなかったんだと思う。じつはこの頃、MINIのアンバサダーに就任することが決まって、急に足グルマができちゃったんだよ。住んでいるマンションの駐車場に足グルマがあったら、わざわざタクシーに乗ってG400Dに乗りに行かないよね。だから走行距離も伸びなくて、11か月で2000キロくらいしか乗ってない。でも本当に気に入っていたし、メルセデスのディーゼルの良さをさらに教えてくれた1台だったと思うよ。走行中に、気になるエンジン音、風切り音などは一切しないし、乗っている感じはレクサスとそん色無いって言っても言い過ぎじゃないと思う仕上がりだった。