イギリス統治時代のインドにカシミールから来た2人の巨人兵がいた――。インド亜大陸のどこかに“巨人の国”が存在するのだろうか。
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■インドで出会った双子の巨人兵
世界一周を7回行ったといわれる当時としては稀代の旅行家であったアメリカ人のジェームズ・リカルトン(1844-1929)は1903年に訪れたインド・デリーで2人の巨人兵と並んだ3ショット写真を撮影した。
7フィート(213センチ)を優に超える2人の兵士は双子の兄弟であり、カシミールの軍隊に所属する兵士であるということで、“カシミールの巨人(Kashmir Giants)”と呼ばれ、写真は当時世界中で話題となった。
ちなみに背の高い兄の身長は236センチで、一方の弟は223センチである。
イギリス統治時代のインド・デリーには大英帝国の式典のために作られたデリー・ダルバールと呼ばれる宮廷があり、1902年年末から1903年の新年にかけてここでエドワード7世の戴冠を祝う祝典が開催されたのだ。
残念ながらエドワード7世は来なかったものの、インド総督カーゾン卿によって企画された祝典はパレードを伴う盛大なもので、国内外の王族たちやこの巨人兵が所属するカシミールの部族の軍隊も参加していた。
祝典の模様もカメラに収めたリカルトンだったが、この双子の巨人兵に魅了されたのか何枚も写真を撮っている。
1903年2月の豪紙『The Brisbane Courier』には、「カシミールの統治者の従者には胸甲騎兵の精鋭部隊と巨人が含まれていた」というタイトルの記事が掲載されていた。