※ こちらの記事は2016年8月24日の記事を再掲しています。

 昨今、「テラヘルツ波」という言葉をあちこちで耳にする。癒やし効果がある周波数1THz(波長300µm)前後の電磁波を指す言葉だが、テラヘルツ波エネルギーには物質の性質を瞬時に変化させたり、病気を瞬時に改善したりする力があるとの説も唱えられている。そのため、テラヘルツ波を発するという鉱石がスピリチュアル商品として人気を博しているうえ、医療分野における実用化の試みも枚挙に暇はない状況だ。あの理化学研究所にも「テラヘルツ光研究グループ」が存在する。

■「テラヘルツ波」発生装置が人体に埋め込まれる可能性も

 しかし、実際のところテラヘルツ波を医療に用いようとする歴史は古い。ロシアで最初の医療用テラヘルツ波機器が作られたのは、1970年代のことだった。サンクトペテルブルグ国立工科大学、実験物理学部のニコライ・バグラエフ教授らの研究チームが、「サイラトロン」と呼ばれるテラヘルツ波発生装置を開発したのだ。これに自信を深めた教授は、次のような言葉を残している。

「あらゆるものをテラヘルツ波発生装置にできる。コンパクトな装置を大量生産し、各病院といわず、各個人がそれを持てるようにしようではないか。さらに、個々人の生体の日常的修正ということならば、チップにまで小型化し、人体に埋め込むことが望ましい」

 そう、彼は人体にテラヘルツ波を発生するチップを埋め込もうという未来を予言しているのだ。そして、まるで教授の言葉を体現するかのように、テラヘルツ波発生装置の小型化のための研究は目覚ましい進展を見せている。