相手の印象を悪くしない言い訳のコツとは?
ある実験ではオンラインで募集した参加者200名を3つのグループに分け、それぞれ割り当てられた文章を読んでもらうよう指示しました。
グループ1:架空の人物が新年の目標が達成できなかったのはお金のせいだと語る文章を読む
グループ2:架空の人物が新年の目標が達成できなかったのは時間のせいだと語る文章を読む
グループ3:架空の人物が新年の目標が達成できなかったことのみが書かれた文章(理由なし)を読む
そして参加者は架空の人物の自己制御の高さを評価しました。
実験の結果、時間を失敗の原因にした人は、お金を失敗の原因にした人よりも、自己制御能力が低いと評価されたのです。
失敗の原因を時間のせいにした人は、失敗の原因を説明していない場合と同程度の自己制御能力を持っていると評価されました。
どうやら私たちは、時間よりもお金のほうがコントロールが効きにくく、お金が失敗の原因であると、仕方がないと思う傾向があるようです。
研究チームは「人々は何か成し遂げることができなかったときに、時間がないことを言い訳にしがちであることを考えると、この結果は驚きだ。しかし他人が失敗の原因が時間にあるというと、もっと時間を有効活用できただろうと考える。
どうやら時間は十分な動機があれば作ることができると考えるらしい。コントロールすることが難しいお金の不足を失敗の原因に挙げると、時間がなかったという場合と比較して、自制心が優れている印象を与えることができるのだ」と述べています。
就職の面接などの場面では、人生で経験した失敗について話すことを求められることがよくあります。
もちろん誰しもそのような経験はありますが、失敗の原因を制御不能な要因に基づくことを強調することで、ポジティブなイメージを相手(ここでは面接官)に与えることができるかもしれません。
参考文献
Prone to abandoning New Year’s resolutions? Research suggests blaming money worries rather than being time-poor
Prone to abandoning New Year’s resolutions? Bayes’ research suggests blaming money worries rather than being time-poor
元論文
Too little money or time? Using justifications to maintain a positive image after self-control failure
ライター
AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしていました。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。