新型コロナウイルスワクチンの追加接種は何度行えるのだろうか。コロナ禍の期間中、ドイツではなんとワクチンを217回接種した男性の存在が明らかになっている。
■29カ月内にワクチンを217回接種
今や気分的にはすっかり過去のものとなったコロナ禍だが、渦中にはワクチンを複数回受けたという人が大半であっただろう。
日本において新型コロナウイルスのワクチンは多い人で7回接種したと思われるが、ドイツのマクデブルク在住の62歳の男性は「意図的かつ個人的な理由」から、29カ月の間に新型コロナウイルスワクチンを217回接種していたことが判明している。
驚くしかないケースだが、免疫学者にとってはまたとない研究対象となる。このような過剰なワクチン接種が免疫系にどのような影響を与えるのだろうか。
独フリードリヒ・アレクサンダー大学をはじめとする研究チームはこの男性に接触し、さまざまな医学的検査への同意を得た。加えて研究チームはこの期間中に患者が受けた血液検査や、新型コロナウイルス感染症の検査結果の参照も許可された。
検査の結果、この男性は新型コロナウイルスに対するエフェクターT細胞を大量に保有していることが判明し、これはワクチン接種を3回受けた患者よりも多く、これらの細胞に疲労の兆候は見られなかったとういことだ。またワクチンによる副作用もなかったという。この男性は新型コロナウイルスに1度も感染していないことも確認された。
この検査と研究の結果は2024年3月に「The Lancet Infectious Diseases」に掲載された。
「私たちの被験者は、入手可能なさまざまなmRNAワクチンを含む、合計8種類のワクチンを接種されました。この異常な過剰ワクチン接種にもかかわらず目立った副作用はなかったという観察は、製剤の忍容性が一般的に良好であることと一致しています」と研究チームのキリアン・ショーバー氏はX(旧Twitter)に書き込んでいる。
忍容性(tolerability)とは医薬品の副作用を患者がどの程度まで許容できるかを示すものである。つまりこの男性にとってワクチンの副作用の可能性は問題にならないレベルであったことになる。
科学系メディア「IFL Science」は、このケースは興味深いものではあり、患者が健康であることは良いニュースであるが、この1件の症例報告から推定できることはあまりないことを指摘している。しかし現時点でワクチンの有効性が高いことを裏付けるケースであるということだ。
「私たちの症例報告は、SARS-CoV-2の過剰ワクチン接種が有害事象を引き起こさず、適応免疫応答の本質的な質に強いプラスまたはマイナスの影響を与えることなく、特異的スパイク抗体とT細胞の量を増加させたことを示しています」と研究チームは述べている。
「これまでのところ、男性にSARS-CoV-2の画期的な感染の兆候は見つかりませんでしたが、これが過剰ワクチン接種と因果関係があるかどうかは明らかにできません。重要なことは、私たちは適応免疫を強化する戦略として過剰ワクチン接種を支持していないということです」と研究チームは論文で結論づけている。
ともあれ男性が今も健康であるのはなによりだが、いったい何が彼をしてこの驚くべき過剰接種に向かわせたのか、その動機と意図のほうがむしろ気になるのだが……。
参考:「IFL Science」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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