「リラックスできるコーヒータイムが大好きだ」という人は少なくありません。

また、「眠気と戦い、作業に集中するためにコーヒーを飲む」という人もいるでしょう。

そんな世界中で愛されているコーヒーには、もしかしたら病気の再発を防止する効果が秘められているかもしれません。

オランダのワーゲニンゲン大学(WUR)に所属するアビソラ・M・オイエレレ氏ら研究チームが、1日に3~5杯のコーヒーを飲む大腸がん患者は、将来再発する可能性が低くなると報告したのです。

同研究では、1日に数杯のコーヒーを飲むことで早期死亡のリスクすら低減できるとも述べられています。

研究の詳細は、2024年2月12日付の学術誌『International Journal of Cancer』に掲載されました。

「コーヒーは大腸がんの発症リスクを低下させる」かもしれない

コーヒーの摂取は大腸がんの発症リスクを低下させるかもしれない
コーヒーの摂取は大腸がんの発症リスクを低下させるかもしれない / Credit:Canva

これまでに行われたいくつかの研究により、コーヒーの摂取と大腸がん(CRC)の発症リスクの低下には、何らかの関係があると考えられています。

例えばある研究では、「毎日1杯以上のコーヒーを飲む人は、コーヒーを飲まない人に比べて大腸がんのリスクが11~17%低下する可能性がある」と報告されています。

また別の研究では、ステージ3の大腸がん患者が、1日当たり4杯以上のコーヒーを飲むと、コーヒーを飲まない人に比べて生存率が向上すると報告されました。

このような研究がいくつか存在する一方で、それらをまとめたあるメタ分析では、「関連性が見つからない」という結果が出ており、必ずしも結果が一致しているわけではないようです。

大腸がんの発症やその症状には、コーヒー飲用量以外の要素が大きく関わってくるため、コーヒーだけの効果を抽出するのが難しいのでしょう。

コーヒーの成分が大腸の腸内細菌叢を変化させるのかも
コーヒーの成分が大腸の腸内細菌叢を変化させるのかも / Credit:Canva

「なぜコーヒーの摂取が大腸がんの発症リスクを低減するのか」という疑問について専門家たちは、コーヒーに含まれる抗酸化作用が関係している可能性を考えています。

コーヒーは酸化ストレスを軽減する調節因子(Nrf2) を活性化する作用があり、これががんの特徴を予防する効果があるというのです。

また腸内細菌叢を変化させ、がんの増殖を防ぐ可能性があるという説も提案されています。

さらに、コーヒーには肝臓機能を改善する効果があることが示されています。

肝臓は大腸がんから転移しやすい部位の1つであるため、専門家たちは、大腸と肝臓の関連性にも注目しているようです。

こうした背景から、現状では、コーヒーには大腸がんの発症リスクを低下させる可能性があるが、その効果やメカニズムには不明な点も多く、さらに多くの研究が必要だと言えます。

そこで今回、オイエレレ氏ら研究チームが着目したのは、コーヒーの摂取が大腸がんの再発リスクにどのような影響を与えるのか、という点でした。