プラスチックの代替品PHBVの競争力
Bioticが開発したPHBVポリマーは、自然に生育する“海藻”から作られるプラスチックの代替品だ。完全バイオベースかつ、CO2と水に分解される“生分解性”であるためマイクロプラスチックにならない。
藻類を使ったPHBVポリマーの強みは、資源消費の少なさだ。生産にごく少量の海洋が必要であるだけで、多くの土地や資源を必要としない。使用される藻類はどのような海でも育てられるだけでなく、二酸化炭素を吸収したり、海洋生物の住処になったりと、環境に良い効果もあるそうだ。
さらにPHBVポリマーが注目を集める理由は、「既存の製造ラインへシームレスに導入可能」という点だ。包装用、繊維、電子製品など、幅広い製品に適しているとのこと。一刻も早い対処が求められるプラスチックによる環境汚染に対し、Bioticの革新的なソリューションは多くの産業分野で広く注目されている。
数あるスタートアップの中で認められた技術力
The Jerusalem Postによると、イスラエルではプラスチックによる環境汚染に向けた動きが盛んで、複数のスタートアップがプラスチックのライフスパン(調達、製造、使用、処理、廃棄)に目を向け、ソリューション開発に取り組んでいるという。最近では、プラスチックの未来を変革するイベント「Disrupting the Future of Plastics」が開催され、スタートアップや企業の創業者、投資家、政府機関などが一堂に集結。プラスチック代替品開発に関わる数々のスタートアップ(応募者)の中から、Bioticが優勝者に選ばれた。
バイオベースかつ完全な生分解性をもつという、環境問題解決への高い技術力が評価された証だろう。
Bioticは今後生産規模を拡大し、世界のプラスチック需要をPHBVポリマーで満たす計画を立てているそう。CEOであるAdi Goldman氏は、次のように述べる。「パイロット施設への移行を進め、生産量を拡大し、ローカリゼーションを重視して世界中でパートナーシップを築くことを目指す。」
BioticのSDGsへの取り組み
Bioticが取り組む環境に優しいPHBVポリマーの開発は、17の持続可能な開発目標(SDGs)のうち複数の内容と一致している。同社は世界中に製造施設を展開し、正当な雇用機会と経済成長を確保し、産業、技術革新、インフラ(目標8「働きがいも 経済けいざい成長も」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」)を促進。
さらに、責任ある消費と生産(目標12「つくる責任 つかう責任」)を推進し、ライフサイクル分析を通じて持続可能な製造プロセスを採用している。
既存のプラスチックをバイオベースのプラスチック代替品に置き換え、気候変動(目標13「気候変動に具体的な対策を」)や海洋生態系(目標14「海の豊かさを守ろう」)にも対処。循環型エコシステムを構築するためのグローバルなパートナーシップ(目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」)を推進している。
このように、Bioticは持続可能性を製品開発プロセスの軸に取り入れ、エンドユーザーに長期的な価値を提供することに注力している。