若葉マークのドライバーは、安くて古い車を所持しがち
アイバース氏は、車の状態の違いにも目を向けています。
若いドライバーが所持する車は、家族が所持している車より、安く頑丈ではない傾向があるというのです。
彼女は、次のように続けています。
「よくあるのは、子供に安い車を買うというケースです。その結果、子供は安全機能があまり備わっていないボロボロの古い車を運転することになります」
確かに、親が自分の子供に車を与えるにせよ、その子(若者)が自分で車を購入するにせよ、10代もしくは20代前半で、最初からハイグレードな車を持つことは少ないように思えます。
「どうせぶつけてしまうから」と安い車にする気持ちも分かりますね。
そしてそれらが、より頻繁なアクシデントや大事故に繋がるというわけです。
今回の研究結果は、若葉マークのうちはマイカーを持たないようにすることで、事故リスクを低減できるかもしれないことを示唆しています。
しかし研究チームは、「その方法がいつでも得策であるとは限らない」とも述べています。
オフィスが遠かったり夜遅くまで働く必要があったりする場合、車を所持していることで帰り道での犯罪に巻き込まれるリスクを低減できるというのです。
またいくつかの研究によると、「車を所持している人は、給与が高く、失業率も低い傾向にある」ため、すべての要因を一括りにすることはできません。
とはいえ今回確認された傾向は、免許取得後すぐに自分の車を持とうと考える若者は、危険な運転をしがちであることを示しています。
これらすべての情報は、オーストラリアだけでなく、日本でも当てはまる可能性があります。
交通事故は巻き込まれるケースも当然有りえますが、事故原因の上位を占めるのは日本でもすべて運転手の不注意によるものです。
毎年2〜3月は、新生活前に免許を取得したい人たちが多く、また高校生や大学生も試験を終えて春休みに免許取得を目指す人も多いため、一年の中で最も自動車学校が込み合う時期とされています。
もし、自分もしくは自分の息子や娘が免許を取得するという場合、車の所持については、そのメリットとリスクを十分に認識して決めるのが良いでしょう。
参考文献
‘Don’t buy your kids a car’: young drivers with own cars in more crashes
元論文
Young drivers’ early access to their own car and crash risk into early adulthood: Findings from the DRIVE study
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。