本記事は2018年の記事の再掲です。
因果関係のジレンマ「鶏が先か、卵が先か問題」が、意識をめぐって科学界で再燃している。果たして、脳が意識を生み出したのだろうか、それとも意識が脳よりも先に存在したのだろうか?
■脳の活動停止後も意識は残り続ける
主流派科学では、物質である脳が意識を生み出していることが当然の常識として語られている。そのため、意識の原因である脳さえ研究すれば、意識の発生メカニズムがわかると科学者らは信じている。しかし、これまで決定的な成果はあがってないどころか、彼らの信念を揺るがすような現象が数多く報告されている。その1つが、臨死体験(NDE)だ。
米ニュースサイト「Collective Evolutions」(1月29日)によると、2001年に国際的医学誌「The Lancet」に報告された臨死体験の研究レポートでは、334人の被験者うち18%が心臓発作により血液の供給を絶たれ、脳の活動が停止したにもかかわらず、昏睡中の記憶を持っていることが判明。医学的観点では説明ができない臨死体験が実在すると断言したという。2014年にも、英サウサンプトン大学の研究チームが2060人を対象にした研究で、死後少なくとも数分間は意識が継続している証拠を掴んだそうだ。
臨死体験の父といわれる米バージニア大学の終身名誉教授ブルース・グレイソン教授も、2008年に開催された国連主催のシンポジウムで、何人もの昏睡患者が、脳波に動きが見られないにもかかわらず、自分の身の回りで起こった出来事を知覚していたケースに遭遇していたと発言。さらに、科学は物質的なものを偏重しすぎていると批判。意識はそもそも非物質的であるため、既存の科学では理解できず、意識を科学の対象として認めることができないと語っている。
意識のメカニズムを解明できない物質的な科学主義の行き詰まりを打開するため、米アリゾナ大学ゲイリー・シュワルツ教授は、「ポスト物質主義科学」へのパラダイムシフトを訴えている。