ニューヨークの摩天楼にジャンボジェット機の不気味な影が――。世界を震撼させた“911”事件の22年前にまるで事件を予見していたかのようなビジュアルイメージが世に出回っていた。
■“911”の22年前にツインタワーにジャンボ機の影
2001年9月11日午前9時3分、ハイジャックされたボストン発のユナイテッド航空175便がニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センター南タワーに激突して爆発した。
その後にビルは倒壊し多くの人命が失われる大事故となり、同日に起きた「アメリカ同時多発テロ事件」、いわゆる“911”を象徴する未曽有の大災害となった。
この事件以来、巨大高層ビルと旅客機という組み合わせに物騒なイメージがつきまとうことになったともいえるのだが、“911”の22年も前にこの組み合わせを全面に押し出した鮮烈なビジュアルが当時のメディアに出回っていたのである。
Xユーザー「@VisionaryVoid」氏の投稿に添付された画像は“ツインタワー”の壁面に投影されたジャンボジェット機の影をフィーチャーしたインパクトに溢れるモノクロ写真である。まるで“911”を予見していたかのようでもある。
実はこの画像は1979年のパキスタン国際航空(PIA) の広告なのだ。
「@VisionaryVoid」氏によれば、ネット上でこの画像を見た多くの人々の好奇心と論争が引き起こされ、陰謀論を広めたり悲劇を嘲笑したりする目的で“911”後に作成された捏造物だと考える者もいれば、あるいはパキスタンとアルカイダの隠れたつながりの兆候を示す“陰謀論”を疑う者もいたという。ちなみに“911”首謀者のビンラディンは事件後、パキスタンの山岳地帯に身を隠しており、殺害された場所もパキスタン北西部のアボッターバードである。
その意味では“陰謀論”に繋がるリンクがあるようにも思えるのだが、残念ながら(!?)この広告は捏造でもデマでもなく本物のPIAの広告であり、フランスの定期刊行物 「L’ Expansion」と「Le Point」の1979年3月発売の号に掲載されていたことが確認されている。
PIAは当時世界最大の旅客機であるボーイング747 を初めて飛行させ、ニューヨークからパリとロンドンへの直行便をいち早く提供した航空会社の1つである。この広告は、1947年に独立を果たしたパキスタンの国営航空会社としての誇りと野心と国際競争力を反映したものでもあるという。
1979年のPIAの広告はそれ以降の世界がどのように変化したかを物語るものでもある。かつてはクールで効果的なマーケティング戦略であったものが、今では世界を震撼させた出来事を彷彿させる物騒な表現になってしまったのだ。
ひと昔前まではタバコの広告が一般的なメディアでも普通に扱われていたが、ご存知のように今は見る影もない。海外ではアルコール飲料の広告も今後ますます規制されていく流れにある。時代と共に変わるビジュアル表現ではあるものの、高層ビル&旅客機の組み合わせは今後もしばらくはNGということかもしれない。
参考:「Daily Star」、「Mashriq Vibe」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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