世界各地には、体が“石”になる奇病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」に苦しめられている人々がいる。FOPは、筋肉や腱、靭帯が骨組織に変化する遺伝子疾患で、発症率が200万人に1人といわれる。何年間にもわたって患者の体は骨化し、歩行や食事、呼吸などを困難にしていく。最終的には骨組織が他の組織を圧迫して死に至るが、現在のところ治療法は確立されていない。
南アフリカ共和国・西ケープ州ググレツに住むトゥージ・マキキさん(50)はFOP患者だ。7歳のときにFOPと診断されてから症状が進行し、2008年までは歩けたが、その3年後には杖を使っても自力で歩くのが困難になった。現在は、慈善団体から寄贈された電動車椅子と妹の介護に頼った生活を送っている。
車いす生活には困難が伴う。たとえば、トゥージさんの家は屋外にトイレがあるのだが、そのトイレまでの通路を車いすが通れないため、トゥージさんは杖を使って移動しなければならない。2014年にはトイレへ行く途中で転倒し、3週間入院することになったという。トゥージさんは、トイレとシャワーのついた部屋で、プライバシーを守れる生活を送りたいと切実に願っている。また、この希望が実現すれば、妹に体を洗わせる必要もなくなり、妹の生活の質も改善するだろうと考える。FOPによって困難な生活を送っているにもかかわらず、トゥージさんは「FOP患者だからといって、雇用されたり教育を受けたりすることができないわけではありません」と前向きだ。
同州カイルス・リバーに住むダミアン・フレデリックスさん(18)は、2009年9月にFOPと診断された。父親とクリケットをしているとき、腕を上げられなくなったことがきっかけで症状に気づいたという。ダミアンさんの家族は、ダミアンさんの病気が発覚した後、クワズールーナタール州の都市ダーバンからカイルス・リバーに移住した。彼らは現在シェアハウスに住んでいるが、いずれは自宅を購入したいと考えている。ダミアンさんもまた「最初はつらかったけれど、今はもう、あるがままを受け入れて過ごせるようになりました」と前向きな気持ちを忘れない。
体が“石”になっても希望を捨てないマキキさんとダミアンさんの姿は、死の恐怖に怯える難病患者や苦しい生活を送っている人々の励みになるだろう。不条理な運命に翻弄されまいと果敢に立ち向かう彼らを応援したい。
(文=標葉実則)
■体が“石”になっても前向きに生きる人々
参考:「The Daily Mail」、ほか
※当記事は2018年の記事を再掲しています。
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提供元・TOCANA
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