細かい部分まで「分業」
こうした厳密な事実の確認が必要な番組は、かなり細かい部分まで「分業」が進んでいて、多くの場合はその部分だけを担当するディレクターやアシスタントディレクターなどに委ねられている。その担当者が少しでも「面倒だ」と思い確認を怠ってしまうと、今回のようなミスが起きてしまうことがある。番組のエンドクレジットを見ると、ディレクター13人でアシスタントディレクターが9人という大所帯の制作スタッフだ。大半が制作会社のスタッフで、テレビ朝日の社員プロデューサーと制作会社のプロデューサーの計3人がチェックする体制になっている。こうした体制だと報告・連絡・相談の「ほうれんそう」が日頃からできていないと大きなミスやトラブルに発展しかねない。
さまざまな専門家たちの研究成果を活用しながら制作する知的な情報バラエティ番組は、いつになってもニーズが大きい。それだけに事実を扱う際の確認は慎重にならなければならない。少しでも手を抜いてしまうと大変な事態を引き起こしてしまう。今回は「事実確認」でミスが生じたというケースだが、過去には2007年に放送された関西テレビ制作の『発掘!あるある大事典Ⅱ』で組織的なねつ造が発覚し、番組そのものが打ち切りになり、関西テレビが日本民間放送連盟から一時は除名になるなど、局全体や放送業界全体を揺るがす大きな問題に発展したケースもある。番組制作にかかわる人たちは「事実を確認する」ことの大切さを肝に銘じてほしい。
(協力=水島宏明/上智大学文学部新聞学科教授)
提供元・Business Journal
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