埼玉県川口市西部でトルコ系クルド人による暴動や迷惑行為が頻発し、地域社会が混乱しているという。日本の場合、トルコ国籍を有するクルド人のケースだが、クルド人といってもシリア系、トルコ系、イラン系、イラク系など中東各地に住んでいる民族で、その総数は3000万人から4000万人と推定されている。
クルド人の主要宗派はイスラム教スンニ派だが、それぞれ独自の民族的気質を有し、その政治信条も異なる。フランスにはトルコ系のクルド人が多数住んでいるが、音楽の都ウィーンにはトルコ系だけではなく、シリア系、イラク系などのクルド・コミュニテイが存在する。彼らはクルド系民族の国家建設を願っているが、その方法論、手段などで異なっており、時には対立して身内紛争を起こしてきた。
日本では2023年7月、川口市の救急病院に約100人のクルド人が集まって乱闘騒ぎを起こしたことがきっかけとなり、地域住民とのあつれきがクローズアップされた経緯がある。住民から苦情として、「自転車盗難、信号無視や暴走をはじめ、深夜に集まり大声で会話、ルールを守らないごみ捨て、産業廃棄物の不法投棄、脱税まで。さらに、日本人女性に対するナンパ行為、未就学児童の増加と一部の不良化など…枚挙にいとまがない」という(世界日報電子版3月23日)。
その結果、クルド人が日本に居住する外国人の中で飛びぬけて野蛮で犯罪的な民族といった印象が生まれてくる。ただ、特定の民族、移民・難民に対して固定したイメージを抱くことは良くない。問題は、不法外国人の居住・労働であって、特定の民族を排斥対象としたものではないからだ。