電動スクーターに加えて電動バイクを発売、個性派デザイン揃う

Ola Electricは、これまではスクーターのみの販売だったが、2024年末を目処に4種類のバイク(Ola Cruiser、Ola Roadster、Ola Adventure、Ola DiamondHead)を発売することを2023年8月に発表した。

Image Credit:Ola Electric

画像を見る限りでは、個性が強いフォルムのものが多い。以下、それぞれについて、現地の解説記事を参考に筆者がキャッチコピーと解説をつけている。

街乗り向きのOla Cruiser

Image Credit:Ola Electric

現地メディアの解説記事には「街乗り向き」と書かれていたが、それにしては個性的で重そうに見える。推定価格は27万ルピー(49.2万円)。

モダンかつ実用的なOla Roadster

Image Credit:Ola Electric

この4つの中では比較的「普通」に見える。解説記事でも「実用的」と書かれていた。推定価格は15万ルピー(27.4万円)。

ハードな地形向きのOla Adventure

Image Credit:Ola Electric

「ハードな地形向き」とあるだけあり、車高が高そうかつ軽そうに見える。推定価格は30万ルピー(54.7万円)。

未来的なスポーツバイクのOla DiamondHead

Image Credit:Ola Electric

新発売の4モデルの中では最も特徴的な形をしている。メディアではテスラのサイバートラックのよう、などとも評されている。推定価格は35万ルピー(63.8万円)。

「実用的」とされているOla Roadster以外は、比較的ユニークな形・用途のバイクが多いように思える。いわゆる「趣味のバイク」なのかとも感じたのだが、Ola Electricのバイクを検討しているというバンガロール在住のインド人に話を聴いたところ、

・燃料費の高騰により、「電動」にメリットを感じる。(趣味利用ではなく)現在の日常利用しているバイクを電動バイクに買い替えたい。
・ただそもそも「電動バイク」が市場にまだ少なく、選択肢があまりない。配車サービスのOla CabsでOlaブランドが有名なことに加え、「電動スクーター」ですでにシェアトップであり、安心感もあるという点でOla Electricが選ばれやすい。
・Ola Electricについては、もともとのOlaブランド自体が有名であること、また電動二輪でもシェアトップの企業であること、またバンガロールには複数店舗がありメンテナンスのための来店もしやすいことなどから、安心だと感じるので、検討したい。

という状況が見えてきた。

二輪車が好まれるステージはまだ続く

一般的に一人あたりGDPが3,000ドルを超えると、二輪車から車へのシフトが進むと言われている。インドの一人あたりGDPは、まだ約2,300ドル。現時点では車(四輪車)ではなく二輪車に乗る人が圧倒的多数派である。

インドは伸びている国ではあるものの、もうしばらくは二輪車が好まれるステージが続くだろう。

また、インドの二輪市場の中でのバイクとスクーターの割合は、2:1程度とバイクが圧倒的に多い。このタイミングでの電動バイク発売は、とても良い戦略のように思える。

電動二輪のトップランナーである、Ola Electricが電動バイクの発売を発表したことは、二輪業界に大きな電動シフトをもたらす引き金になるのだろうか。

インドにおいて、今後どんどんエンジンバイク大手からも電動バイクが発売され群雄割拠となるのか、それともOla Electricがひとり勝ちとなるのか、はたまた電動バイク市場はそこまで盛り上がらないのか。

変化が激しい時期にあるインドの電動二輪市場の動向に、今後も注目していきたい。

【著者プロフィール】

滝沢頼子/株式会社hoppin
東京大学卒業後、UXコンサルタントとして株式会社ビービットに入社。上海オフィスの立ち上げ期メンバー。
その後、上海のデジタルマーケティング会社、東京のEdtech系スタートアップを経て、2019年に株式会社hoppinを起業。UXコンサルティング、インドと中国の市場リサーチや視察ツアーなどを実施。インドのバンガロール在住。