2014年末に米国中央情報局(CIA)によるテロ容疑者に対する拷問が話題になった。しかし同時に、世界中には更に残酷な拷問が存在し、現在も取調べや尋問の過程で拷問が行われているのである。

 東南アジアや南米で危機管理コンサルタントに従事し、さまざまな拷問を目の当たりにしてきたA氏が、その実態を語ってくれた。

「拷問は本来“肉体的苦痛を与えて自白させる”情報収集の手段であり、残忍な刑罰や処刑の方法とは異なるものです。容疑者の精神を崩壊させたり、口が聞けないほどに肉体を痛めつけてしまったりしては、情報を聞き出すことができません。そのため、死への恐怖と肉体的苦痛から解放され、“生還したい”と思わせるギリギリの線を攻めるのです。こんな苦しい思いをするくらいなら、いっそのこと死んでしまってこの苦痛から解放されたい……と思わせるような拷問は、むしろ失敗なんですよ」

 生死の境を攻めて情報を引き出すとは、なんともエゲツない。A氏は、これまで目の当たりにしてきた拷問の内容を苦々しく語り始めた。

■家族への陵辱

「容疑者が男性の場合、妻や娘への陵辱は当然のように行われます。時には、全裸で縛り上げた女性を犬や浮浪者、精神障害者に襲わせようとすることもあります。しかし、“拷問としての陵辱”で大事なのは、実際にレイプはしないということです。レイプしてしまえば、容疑者は妻や娘を守れなかった罪悪感で心を閉ざしてしまうため、情報は引き出せなくなってしまいますから」