MT-09トレーサーの車種プロフィール

MT-09をベースにしたアドベンチャーモデル。デビューは2015年で、当時のヤマハが取り組んでいた「基本プラットフォームを利用したバリエーション展開の拡大」方針に沿って開発された。そのため、乗り手とシンクロするようなライドフィールを目指したMT-09の性格はそのままに、アップライトなライディングポジションと、ハーフカウル&ウインドスクリーンが備えられていた。2017年モデルからはクラッチ操作を軽くするアシスト&スリッパークラッチを装備するなとのマイナーチェンジを受けた。2018年モデルでは再びマイナーチェンジを受けるとともに、モデル名を欧州と同様に「トレーサー900」へと改めた(インプレッション車両は2015年モデル)。

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バイクインプレ

車両の特徴

電子デバイスは前後ABSとトラクションコントロールを標準装備。
トラクションコントロールはメーターパネルのスイッチでオン/オフが可能だ。

小ぶりでスタイリッシュなウインドスクリーンは、ライダーの首あたりまでウインドプロテクション効果があり、ツーリングバイクとしてかなり快適に仕上がげられている印象。
スクリーンは3段階に高さ調節ができるようになっている。

なお、ライディングポジションも調節が可能。
シートは2段階、ハンドルは前後20mmの調節が可能となっており、様々な体格のライダーに対応するライディングポジションになっている。

燃料タンクはMT-09の14Lに対して、18Lまで拡大。ロングツーリングで心強い装備だ。
このほか、12ボルトの電源が取り出せるシガーソケットや、安定して荷物を積載できるセンタースタンドなど、ツーリングの快適性を高める装備が充実してる点も特長だ。

エンジン

MT-09と共通で、水冷4ストローク4バルブDOHCの並列3気筒エンジンを搭載。
ボア×ストロークは78mm×59mmで排気量は846ccとなっている。

最高出力は110ps/9,000rpm、最大トルクは88N・m/8,500rpm。
また、シリンダーが42.5°と大きく前傾しており、これによってエンジン単体の低重心化、車体の低重心化に貢献している。

電子制御スロットルによってエンジンは扱いやすく調教されている。
さらに、3段階のドライブモードにより、パワフルな走りからジェントルな走りまで自由自在にキャラクターを変更可能だ。

パワフルでスポーティーそしてシャープなレスポンスが得られるAモード。
最高出力、トルクもやや抑えられ、スロットルレスポンスも穏やかになるBモード。
そしてその中間ポジションのスタンダードの3段階となっている。

足回り

前後サスペンションはフロントが41mm径のインナーチューブを持つ倒立式フォーク、リヤはリンク式のモノクロスサスペンションと、アルミ製ロングスイングアームを組み合わせる。前後ともにプリロードと伸び側のダンパーの調整が可能だ。

前後ブレーキは、フロントが298mmのダブルディスク、キャリパーは対向4ポットのラジアルマウントタイプとなっている。
リヤは245mmのシングルディスク、キャリパーは片押シングルポットとなっている。

ホイールベースは1,440mmでMT-09と共通だが、キャスターとトレール量が若干異なる。

MT-09は25°のキャスター角に203mmのトレール量だが、トレーサーは24°のキャスター角に200mmのトレール量となっている。この違いはアドベンチャーバイクとしての適切なハンドリングバランスを得るための結果だろう。

走り

ワインディングでの乗り味は、MT-09と同様に前後タイヤの接地感がとても強く、スーパースポーツだと安心して走ることができないような荒れた路面でもサスペンションがよく動いて路面をグリップしてくれる。

ハンドリングは、MT-09より穏やかになっている印象だが、スポーティーな走りは健在。
MT-09のいい部分をそっくり生かしながらアドベンチャーバイクにうまく仕上げているという印象だ。

エンジンは非常によく回るが、4気筒エンジンのようにひたすらスムーズというわけではない。
スロットルを開けると3気筒エンジン独特の振動を車体やハンドルバーに伝えながら猛然と加速していく。
そうした「3気筒らしさ」は、MT-09よりも強く感じられる。


※当記事は動画「MOTO BASIC」協力のもと、モトメガネが編集構成した記事となります。