先週4月14日、とある動画がX(旧ツイッター)で拡散され話題になっていました。

アメリカのUFC(総合格闘技)ファイターのレナト・モイカノ選手が、試合後の勝利スピーチの中で次のように話したのです。

「私はアメリカを愛し、憲法を愛し……銃を持ちたい。私は私有財産を愛している。言わせてくれ。自分の国のことを思うなら、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスとオーストリア経済学派の6つの教えを読め」。

格闘技の選手が、自由主義のオーストリア学派経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの名前を試合後のリングの上で出す、ということは、極めて異例です。よほど自由主義への思いがないと出ない言葉でしょう。 ちなみにUFCの多くのファンは共和党員で、トランプもよく見に行くそうです。

ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス

モイカノ選手が言う「6つの教え」とは、ミーゼスの著書『経済政策』のことで、これはミーゼスが1959年にアルゼンチンで学生に向けて行った講義を書き起こしたものです。

この本はブラジルでは”As Seis Lições”(「6つの教え」)というタイトルで出版されています。講義のタイトルが、資本主義、社会主義、介入主義、インフレ、外国投資、政治と思想の6つだったからです。モイカノ選手はブラジル出身ですので、このブラジル出版版を読んでいたのでしょう。