三菱「デリカミニ」が売れた理由
続いては、2023年5月に販売開始された三菱デリカミニだ。デリカミニは、もともと「eKクロススペース」として販売されていたモデルのフロントマスクとリアガーニッシュを変更したブランドチェンジモデルで、新型ではない。
特徴はフロントマスクをダイナミックシールドに半円型のLEDポジションランプを内蔵したヘッドライトを組み合わせて親しみやすい表情としたこと。そしてフロントバンパーとリアのテールゲートガーニッシュに「DELICA」ロゴを採用したこと。さらに4WD車は165/60R15サイズの大径タイヤと専用チューニングを施したショックアブソーバーの採用により、路面の追従性を高めるだけでなく、砂利道などの未舗装路を走行する際の安定性と快適性を高めたことだ。
デリカは現在、5世代目の「デリカD:5」が販売されている悪路走破性の高いSUVとミニバンのクロスオーバーモデルで、三菱車の中で「パジェロ」と同じくらい強いブランドだ。
三菱の軽自動車はeK(イー軽)ブランドで販売されていたが、スズキ「スペーシアギア」の登場により、SUV+軽スーパーハイトワゴンという新しい潮流が生まれた。そこで三菱は自社の強いデリカブランドを軽自動車に採用し、eKクロススペース改めデリカミニが登場したのだ。また、デリカミニのテレビCMにはデリ丸というキャラクターを登場させたことで、「ブランドオブザイヤー2023」において、「消費者を動かしたCM展開特別賞」を三菱自動車として初受賞した。
この結果を見てもわかるとおり、軽自動車を購入するユーザー層は性能だけでなく、コマーシャル展開などのイメージ戦略が大切であることがわかる。もともと三菱はSUVに強いメーカーで、軽自動車の主力モデルであるスーパーハイトワゴンにSUVテイストをブレンドしたモデルに注目が高まった時に、デリカミニを登場させることができたという抜群のタイミングだったのが功を奏した。
これがeKクロススペースでは低迷していた新車販売台数が、デリカミニで巻き返しに成功した理由だ。しかし、三菱はデリカミニだけでなく、現在日本では途絶えているパジェロブランドを復活させるなどの策を講じていかないと、この好況は長くは続かないだろう。
(文=萩原文博/自動車ライター)
提供元・Business Journal
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