長崎県五島列島・福江島において、2020年に開業したデザイナーズホテル「hotel sou(ホテル ソウ)」。

その第二段となる「hotel jin(ホテル ジン)」が、同じ長崎県の対馬にて、3月27日(水)から営業を開始した。同ホテルでは、対馬市政20周年の4月13日(土)に、オープンイベントを開催する。

歴史ある旅館を斬新なホテルにリニューアル

この度、オープンイベントを開催する「hotel jin」。同ホテルは、対馬の中心・厳原のメインストリートである大町通りに155年前からあった旧有明荘をリノベーション、デザイナーズホテルに改装した。

建築デザインを担当したのは、世界中で活躍するスキーマ建築計画の長坂常氏だ。

そのデザインコンセプトは、朝鮮通信使を受け入れた歴史、武家屋敷の見事な白い石英斑岩の石垣などをデザインモチーフとした厳原らしい表玄関でありながら、地元対馬の人々が従来通り自然に集い語らい合える空間作りを目指したという。

その結果、明治から続く旅館の面影を残しつつ、斬新なデザインのホテルとして蘇った。

ゲストルームは、朝鮮通信使の行列が通った大町通りに面した道路サイドと、裏庭に面した庭サイドの、全部で2部屋。それぞれ和室二間で、バス・トイレ付き。一部屋最大5名の宿泊が可能なので、グループでもゆったり寛げるのが嬉しい。

歴史巡り・マリンアクティビティと魅力あふれる対馬

対馬は、日本で朝鮮半島に最も近いという地理的条件から、古代においては、大陸からの石器文化・青銅器文化・稲作・仏教・漢字などを伝える、日本の窓口として発展した島だ。

朝鮮半島との間では、古くから貿易などの交流が盛んで、島内には数多くの仏像・建造物・朝鮮式山城などの文化財が残る。

江戸時代には、宗家対馬藩の城下町として栄え、随所に武家屋敷・石垣塀などがあり、宗家の菩提寺でもある万松院には、朝鮮国王から贈られた三具足、徳川将軍の大位牌が現存。132段の百雁木といわれる石段、宗家一族の墓所・御霊屋には巨大な墓がずらりと並び、荘厳な雰囲気が漂っている。

史跡・旧跡だけでなく、自然あふれるレジャースポットもたくさんある。特に、海で遊べるスポットが豊富で、透明度の高い海に心癒されるスキューバーダイビング、心地よい潮風を感じながらのシーカヤック体験などが人気。

また、美しいリアス式海岸で知られる対馬浅茅湾をクルーザーでゆったりとめぐるクルージング、魚影が濃い海でのフィッシングもおすすめだ。

その他、地元名産の対馬パールを使ったアクセサリー作り、イノシシやシカの革を使ったレザークラフト講座などもある。名産品は、対州そばが有名。粒ぞろいそばの実を使うそばは、風味が抜群。国際交流の窓口として栄えた時期に、大陸から渡ってきたそばの種が、原種に近い形で今日に伝わっている。

「hotel jin」は、日本人観光客はもちろん、近年対馬を訪れる多くの韓国人を含むインバウンドの富裕層にも満足してもらえるホテルとして開業した。また、対馬が舞台となった大ヒットゲーム「GHOST OF TSUSHIMA」の聖地巡礼の拠点としても期待される。

対馬というと、東シナ海の孤島のように感じるかもしれない。しかし、実際には福岡空港から空路で約35分の距離だ。「hotel jin」のオープンが、対馬での新たな滞在スタイルになることを期待したい。

hotel jin (ホテル ジン)
所在地:長崎県対馬市厳原町国分1361
料金:1泊 45,000円〜(税込)

(高野晃彰)