子育て世代でなければ知りえない、保育園での課題があるようです。
従来、保育施設で使用済みおむつは、子どもごとに保育士がおむつを分別し、保護者が家庭に持ち帰って処分するという方法がとられていたといいます。
この仕組みが保育士の業務を圧迫するだけでなく、衛生面でも問題があるとして、2023年1月23日(月)には、当時の厚生労働大臣から各市区町村に「園内でおむつを処分することを推奨する」という通達がなされました。
通達からおよそ1年を経て、「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」(BABY JOB株式会社運営)は、2024年1~2月にかけて全国の保育施設での使用済みおむつ持ち帰り状況を調査しました。
持ち帰りをさせる市町村は減少
厚生労働省からの通達により、持ち帰り率は39.4%から7.9%まで、大幅に減少した結果を示しました。
「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」でも、厚生労働大臣に署名や要望書などを提出しているほか、同会での施設への3回の現状調査も行い、問題の改善に向けて取り組んできたといいます。
今後の見通しは?
2022年に実施したという状況調査では、持ち帰りをさせている市町村が最も多い都道府県は滋賀県という結果だったといいます。
しかし、今回行われた調査では、滋賀県内にあるすべての市区町村で、おむつを園内処分するようになっているといい、急速に改善されたことが明らかになりました。その他にも、福井県、富山県、さらに鳥取県などでも、持ち帰りはゼロになっています。
使用済みおむつを保護者に持ち帰らせていると回答した市町村に対し、今後おむつを施設で処分する予定があるかを確認したところ、「変更予定・検討中・今後検討予定」と回答したのは44.2%の50市町村とおよそ半数に上り、今後さらに減少する可能性は高いことが見込まれます。
施設での処分を行わない理由は「子どもの体調管理(45.1%)」が最多ですが、「ずっとそうしてきた(25.7%)」が次点となり、持ち帰りの理由が曖昧(あいまい)であることもうかがえます。
おむつの廃棄費用の補助の影響
家庭ごみの処分と異なり、私立保育施設から発生するごみの処分にはコストの問題も。施設で廃棄できない理由として挙げられた「ごみの保管・回収の手配が難しい(20.4%)」「予算がつかない(16.8%)」からは、金銭的な要因が示唆されました。
自治体へ市町村内にある私立保育施設へ使用済みおむつの廃棄費用を補助しているか調査すると、補助をしている市区町村はわずか15.7%の186市区町村で、補助なしが51.6%と過半数を占める結果に。施設内で処理することがまだ難しい状況であることがわかります。