「未知の物質」の特定はかなり難しい

 食品製造において「未知の物質」が発生・混入するというのは具体的にどのようなケースがあり得るのか。実践女子大学名誉教授で薬学博士の西島基弘氏はいう。

「常識的に考えて、一部のロットで未知の毒性の強い物質が発生することは考えられません。また、腎臓疾患のある人が死亡したり入院をしているようですが、その人たちがどの程度の量を、どの程度の期間、摂取していのたかわかりません。また、同社の紅麹原料を購入して使用している他の食品からは発症者が出ていないようですので、未確認物質は濃度依存性がある可能性がありますが、特定はかなり難しいと思います」

 当該食品と健康被害の因果関係がない可能性はあるのか。また、因果関係が証明されない可能性はあるのか。

「現時点では因果関係があるかないか断定はできませんが、製薬会社の製品を飲んで発症している人がかなりの人数いるので、因果関係がないとの確認はかなり難しいと思います」

 最初の症例報告から自主回収の発表まで2カ月を要した同社の対応をどう評価するか。

「小林製薬が、いつ異常があると認識したのかわかりませんが、いろいろな物質を検証したとすると、対応が遅いとは言い切れません。原因が特定できない以上、健康被害の可能性が否定できないので製品を回収し広報をしたのは評価できるのではないでしょうか。今回のようなケースでは、物質名が不明なまま成分をプロットで表し、通常と違ったプロットがあれば、それを検証するという手法もありますので、あまり遅くならないうちに原因について報告があるかもしれません。

 シトリニンはカビ毒で腎臓毒ですが、それほど強い毒性はありません。毒性物質が確認されてない現時点では毒性物質の推測もかなり難しいと思います。小林製薬の分析結果を待ちたいと思います」

(文=Business Journal編集部、協力=西島基弘/実践女子大学名誉教授)

提供元・Business Journal

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