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MX-30の発電用ロータリーどころではない変わり種
コスモスポーツに続くロータリークーペはマツダ初のFF車
MX-30の発電用ロータリーどころではない変わり種
MX-30ロータリーEVによって、発電用ながらもロータリーエンジンの復活を果たしたマツダですが、外部からの充電や8Cロータリーで発電した電気で前輪を駆動するMX-30ロータリーEVに、「後輪駆動のロータリースポーツも!」というユーザーも多いでしょう。
いわばロータリーといっても変わり種扱いなのがe-SKYACTIV R-EVですが、マツダの長いロータリー史には、10Aや13Bと全く異なる13Aロータリーを積む前輪駆動のラグジュアリークーペという超変わり種、「ルーチェロータリークーペ」がありました。
今回は1960年代の歴史に名を残す車として、同車を紹介します。
コスモスポーツに続くロータリークーペはマツダ初のFF車
1967年の東京モーターショー、マツダブースでは開発コードRX85(後のファミリアロータリークーペ)とともに、開発コードRX87の流麗なクーペが展示され、その美しいデザインから話題をさらいました。
パッと見はベルトーネ時代に仕事をしたデザイン界の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロによる初代ルーチェ(1966年発売)の2ドアハードトップクーペ版に見えますが、実際はよりワイド・&ローで全長の長い伸びやかなデザインで、全体の印象以外に共通点はなし。
何より搭載しているのはコスモスポーツやRX85の10Aロータリー(491cc✕2)ではなく655cc✕2の13Aロータリーで、なんとマツダ初の前輪駆動でした。
ヴァンケル式ロータリーエンジンの本家、西ドイツ(当時)のヴァンケルやNSUは、初の市販車ヴァンケル・スパイダーでRR、次のRo80でFFレイアウトを採用していましたが、マツダでロータリーが直接駆動するFF車はこれが最初で最後です。
当初は初代ルーチェにそのままロータリーを搭載する予定だったものの、まずはスポーツイメージで売り出してから実用車へ、というマツダの意向もあって、ルーチェのデザインをベースにクーペ化したのが、RX87と言われています。
好評を得たRX87は2年後の1969年10月、「ルーチェロータリークーペ」として発売されました。