馬の背を短くした形の器械体操用具、及び、この用具に手を着いて飛び越える競技種目は「跳馬」と呼ばれる。助走して跳馬の手前で踏み切り、跳馬に手をついて跳んだ後、演技を行って着地する。古代ローマの兵士たちが乗馬練習のために行っていた木馬運動が起源だ。
跳馬では日本人の活躍も多い。1968年のメキシコオリンピック団体総合で金メダルを獲得した体操選手、塚原光男が発表した「ツカハラ跳び」や、1972年のミュンヘンオリンピック団体総合で金メダルを獲得した体操選手、笠松茂が発表した「カサマツ跳び」は、跳馬の代表的な技とされる。
オリンピック体操競技の種目にもなっている跳馬だが、全世界に中継放送されている大会でも事故がしばしば発生している。そんな事故の瞬間を捉えた動画を海外の動画共有サイト「TheWorldWatch」から紹介しよう。映像は、2018年3月に米イリノイ州シカゴで開催された「2018アメリカン・カップ」で撮影された。
当時18歳の中国人体操選手、毛イーがまっすぐ走って行く。跳馬の手前でジャンプして床に手を着き、体を回転させて足で着地した後、そのまま再び高く跳んで跳馬に手を着いて、空中で体を回転させる。しかし、マットに着地するとき、尻餅をついてしまった。観客席からは驚きと不安の入り混じった声が上がる。毛選手は立ち上がることができないまま、苦痛に顔を歪めている。着地の際に大腿骨を骨折したのだ。この後、地元の病院へ搬送され、手術は無事に成功した。
毛選手は2016年リオデジャネイロオリンピックで代表に選ばれ、団体総合で銅メダルを獲得するのに貢献した。しかし、輝かしいキャリアは2018年の怪我によって暗転した。2019年12月21日に代表チームを離れた毛選手は、2021年に引退を発表した。2020年のインタビューで、自分の体内には太腿全体を貫通する髄内釘(骨折部位を固定するために骨髄内に挿入する釘)と2本の固定釘がまだ残っていることを明らかにした。
毛選手が活躍した2016年リオデジャネイロオリンピックでは、フランスの体操選手、サミル・アイ・サイド(当時26)が跳馬で着地に失敗し、左脚の脛骨と腓骨を骨折する大けがを負った。YouTubeでは、事故の瞬間を捉えた映像を見ることができる。跳馬に手を着いて力強く跳んだアイ・サイド選手は、宙で体を回転させた後、着地に失敗してマットに倒れた。左足が折れ曲がっている。拍手が沸き起こる中、アイ・サイド選手は担架で会場から運び出されたのだった。
オリンピックなどの世界的な大会では、危険を伴う新しい技への挑戦が体操選手たちに求められる。その挑戦が多くの人々の心を打つ同時に、選手のキャリア、さらには命をも奪ってしまうこともある。感動とリスクは常に紙一重だ。

参考:「China Daily」、「The Sun」、「USA TODAY」、ほか
文=標葉実則
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提供元・TOCANA
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