■パラレルワールドに迷い込んだのか?

 バシレ・ゴルゴス氏の不可解な失踪と帰還を説明するために、さまざまな仮説が浮上した。一説によると、彼は新しい人生を歩むために家族を捨てた可能性があり、一緒に暮らしていた人物が高齢になった彼を見捨て、彼を本来の家族のもとへと送り返したのではないかという。

 また30年前のゴルゴス氏は実は不幸の只中にあり、自ら家族のもとを去ったのではないかと考える者もいる。新しい人生を始めたものの、齢を重ねるにつれて元の家族を懐かしく感じ戻ってきたのではないかというのだ。

 あるいはゴルゴス氏が農場で奴隷労働をさせられていたのではないかという憶測もあるようだ。彼が戻ってきたのは、もう働けなくなったからかもしれないし、彼を使役していた人々が亡くなったからかもしれないという。しかしゴルゴス氏には身体を酷使していた形跡はなかった。

 もっと創造的なアイデアは、ゴルゴス氏が実験のために宇宙人に誘拐されたという「エイリアン・アブダクション説」だが、その多くは誘拐された時の異常な状況を憶えているものだが、ゴルゴス氏にはその記憶はないようだ。

1991年に失踪した男性、30年後に記憶を失い同じ服を着て戻ってくる=ルーマニア
(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 精神医学の分野ではゴルゴス氏が解離性逃避を経験したのではないかとの指摘もある。これは彼の思考力が低下し長期にわたって記憶喪失に至った可能性があり、歳を重ねたことで、わずかな記憶が甦り帰宅したのかもしれないという。

 ゴルゴス氏が2つの異なる人格を持つ解離性人格障害を患っていた可能性があるとの指摘もあるが、この障害は通常、散発的に人格が切り替わるもので、1つの人格のまま何十年も過ごす可能性はほとんどないということだ。

 さらに想像力豊かな可能性の1つは、ゴルゴス氏が1991年の電車旅行中に異次元空間に移動し、30年後にまた戻ってきたのではないかという説だ。この説は30年という歳月が数日程度と認識している理由を説明し得る可能性があるが、ゴルゴス氏が今の自分が63歳ではなく93歳であることを知った時に驚かなったこととは矛盾するかもしれない。

 ゴルゴス氏の30年間という“空白期間”はきわめて稀なケースであるが、行方不明者が数カ月や数年後に戻って来るケースはほかにも記録されている。そしてやはりその多くは、当人がその期間に何があったのか憶えていないか、あるいは話すことを拒んでいるのである。

「ずっと家にいた」と話すゴルゴス氏は、ひょっとするとパラレルワールドのゴルゴス家で30年間暮らしていたのだろうか。いずれにせよ、謎の車のナンバープレートは現在に至るまで特定されておらず、この30年間のゴルゴス氏の足跡もまったく手がかりがつかめていない。ゴルゴス氏がまだ存命の間に新たな進展を見せることがあるのかきわめて気になるケースである。

参考:「Howandwhys」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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