2000兆円を超える損害を捻出できる可能性は薄い

関東直下型地震の場合、経済被害は47兆円と国の中央防災会議が2013年に想定している。南海トラフは170兆円としている。(2018年3月9日付「ウェザーニュース」参照)

しかし、その地震の影響によってその後20年間に及ぶ経済損出を見ると前者は731兆円、後者は1240兆円と推測されている。(2018年7月9日付「日経ビジネス」参照)

即ち、この2つの大地震を20年のスパンで見ると2188兆円(47+170+731+1240)の損害を背負うことになる。 それに富士山の噴火による被害2兆5000億円を加えると総額およそ2190兆円となる。

現在の日本のGDPに占める負債はおよそ250%の1200兆円。しかも、毎年財政支出は続き、それを政府は国債の発行で補っている。日本の金融資産は2000兆円あると言っても、その内の凡そ半分は預金で、その大半は国債の購入に向けられている。企業の投資に向けられるのではなく、国債の購入ということで、これではなおさら国の経済発展にはつながらないことになる。

財政支出の歯止めがかからず、2030年の前後5年以内にこの3つの地震が発生し、それから20年が経過するまでに2190兆円の資金をどこから集めることができるというのであろうか。国債を政府が発行しようとしても市中銀行ではそれを受け入れる枡もほとんどない状態にある。

と同時に2大地震が発生すれば、日本の企業の活力は一気に衰え、GDPも大きく後退するのは必至である。だから、復興資金を集めるのはなおさら困難を伴うことになる。

ということで、この2大地震の発生は即ち日本の財政破綻を招く可能性は非常に高いということである。

確実に来る2大地震を前に、今も日本の政府も国民も「地震が起きても何とかなるだろう」という漠然とした意識しか持っていないことに筆者は驚いている。メディアも沈黙を守っている。これはメディアの本来の役目を果たしていないことを意味するものだ。

自民の政権運営が長すぎるのが問題だ。野党も頼りにならない。新しい政党が誕生して過半数の議席を獲得して政治・社会改革に乗り出す必要がある。

中国の属州になる可能性

資金難に陥った状態を機に中国が支援の手を差し伸べるかもしれない。それを受け入れれば、その時から日本は中国の属州になる始まりであろう。これまで米国の属州として戦後発展したことを思えば、それも当然の成り行きかもしれない。しかし、中国の配下になれば、これまでのような自由は謳歌できないであろう。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?