だから、オルバン首相は、「EUの対ロシア制裁はロシアよりEU加盟国の国民経済を一層損なうだけだ」として反対の立場を取ってきた。ちなみに、ゼレンスキー大統領は、「オルバン首相はEUの結束を崩すロシアの共犯者だ」と批判している。

オルバン首相は、EUの本部ブリュッセルからは「民主主義と法の遵守」を求められ、「言論の自由に反する」として制裁を科せられているが、プーチン大統領とは友好関係を維持し、中国とは経済関係を深めている(「ハンガリーの中国傾斜は危険水域に」2020年4月30日参考)。

EUは現在、ハンガリー向けに割り当てられた約300億ユーロのEU資金をブロックしているが、これには新型コロナウイルス復興基金からの援助と優先融資の120億ユーロが含まれる。EUは「ハンガリーの司法機関と監督機関はEU資金を正しく運営することを保証する十分な独立性を持っていない」と受け取っているからだ。

ハンガリーは2024年7月1日、EUの議長国に就任する。任期は半年間だ。欧州議会は6月1日、ハンガリーのEU議長国に反対する決議案(全619票)を賛成442票、反対144票、棄権33票の賛成多数で採択した。同決議案は法的拘束力はないが、「象徴的な意味合いがある」という。EU加盟国ではハンガリーに対して不信感が強いわけだ。口の悪い人は「ハンガリーがまだEU加盟国に留まっていること自体、不思議だ」という。

いずれにしても、オルバン首相の25日の発言を聞けば、「ハンガリーがロシアの情報工作の手先となっている」といった憶測さえ生まれてくるのだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年9月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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