失われた「ガスト=安い」という魅力
また、外食業界関係者はいう。
「ファミレスに限らず外食チェーンは軒並み値上げを行っており、ガストも例外ではなく、かつては399円の『目玉焼きハンバーグ』に象徴された『ガスト=安い』という魅力が失われた面はある。たとえば人気メニューの『デミたまハンバーグ』は780円と、800円に迫る価格になっており、数多ある外食チェーンのなかで『ちょっと高いけど高級感がある』でもなければ、『味はそこそこだけど安い』でもなく、中途半端な位置づけになってしまい、消費者に『ガストに行くなら他の店に行く』という行動を選択させてしまっている。また、店舗力の低下という本質的な問題も以前から指摘されている」
この店舗力の低下について重盛氏はいう。
「都市型店舗の課題としては2つある。1つめは、客の収容人数の制限と回転率の問題である。感染予防のため密にできないこと、そしてピークタイムの回転率の悪さが挙げられる。ビジネス街であればランチタイムは長居しない客が多いのかもしれないが、たいていの客は『ごゆっくりどうぞ』と言われれば、その言葉をそのまま受け取り長居してしまう。ランチタイム前に座席が埋まってしまえば、かき入れ時の時間にもかかわらずテイクアウトしか受注できなくなってしまう。
2つ目の課題としては、顧客との呼吸合わせができていないことが挙げられる。例えば筆者がよくリサーチで訪問するガストの学芸大学店では、ランチタイムにドリンクバーが空になっていることが多い(特に人気の「野菜と果実ニンジンミックス」)。このドリンクを目当てに来店する客が多いようだが、ある日は補充までに1時間以上要していたこともある。
当然、店側は客の滞在時間を減らすために空にしていたわけではないだろうが、補充を待って滞在時間が伸びた客もいるだろう。ドリンクバーが客の来店の動機付けになっているチェーンは多く存在するが、ランチタイムにドリンクバーのマシンが故障しているケースは他チェーンでも見かける。ある日の『サイゼリヤ 中目黒店』では『故障中』との紙が貼られたコーヒーマシンを見て舌打ちをする客も見られた」(22年11月12日付当サイト記事より)
果たしてロイヤルホストとガストの差は開いてしまうのだろうか。
(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)
提供元・Business Journal
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