2月頭にアメリカ各地の上空で謎の気球が発見され、その後もカナダや欧州等複数の国で確認されるに至った謎の気球騒動。だが、上空には気球よりも恐ろしいものが存在していると専門家は語る。それは地球の周囲に存在している無数の隕石だ。
2013年、ロシア領空に突入した幅19メートルのチェリャビンスク隕石は非常に広範囲に被害をもたらし、多くの負傷者も出た。チェリャビンスク隕石の衝撃波は実に広島原爆35個分に相当する威力だったとされている。
この被害を完全に防ぐことは難しくても、もし事前に予想することができていたのならば、人々が地下に避難するなどして少ない負傷者で済んでいたかもしれない。だが、夜中ならともかく日中は太陽の光によって接近する隕石や小惑星が隠れてしまう。チェリャビンスク隕石も日中に太陽に近い方向から地球に接近してきたため発見することができなかった。
隕石や小惑星の大気圏突入のような事象が発生しても人々が安全に過ごせるように、事前警告を与えるため、赤外線を用いた「Near Earth Object Mission」という新たなシステムが研究されている。頭文字を獲ってNEOMIRと呼ばれるこのシステムは、今後10年以内を目処に実装が計画されている、太陽の方向から地球に向かってくるものを監視するシステムだ。Near Earth Objectは、地球近傍天体を意味する。
そもそも小惑星が見えるのは、太陽の光を反射しているからなのだが、太陽に近づけば近づくほど過度な明るさのため見えにくくなる。特に太陽面を横切る小惑星は見つけにくい。NEOMIRは、太陽と地球の間にある第一ラグランジュポイント(L1)の軌道に投入され、両者に対して同じ位置に留まるよう設置される。これにより、太陽の方向から地球に向かってくる可能性のある小惑星を見ることができるようになるという。ラグランジュポイントとは、地球からの引力と太陽からの引力が等しくなる空間のことだ。 さらに、NEOMIRは太陽光にかき消されない小惑星自身が発する熱を検知することができる。この熱放射は地球の大気によって吸収されてしまうため、地球上から観測することはできない。
地球に向かってくる20m以上の小惑星は、少なくとも3週間前にはNEOMIRによって検出されるとのこと。最悪の場合でも3日前には検知可能で、これは小惑星が第一ラグランジュポイントから地球到達にかかる時間に等しいそうだ。つまり太陽の方向からやって来る20m以上の小惑星は、衝突の3日前までに知ることができる。
欧州宇宙機関(ESA)の惑星防衛の責任者であるリチャード・モイスル氏はNEOMIRについて次のように述べている。
「チェリャビンスクのような大きさの小惑星は、およそ50年から100年ごとに地球に衝突します。衝撃波やそれに付随する現象による負傷も、あらかじめその規模と影響を人々に知らせることができれば防ぐことができるでしょう。事前警告があれば、自治体も人々に窓やガラスに近づかないように市民に通告することができます」
また、米カーネギー科学研究所のスコット・シェパード氏はサイエンス誌にて「現在ますます多くの地球近傍天体が発見されている」と説明。従来の望遠鏡は太陽の眩しさを避けるために地球の外側を向いていたが、新しい観測装置であるNEOMIRは反対方向に向けられるため、専門家も以前には見られなかった小惑星をとらえることができるようになったと語る。
新たなシステムNEOMIRは、宇宙からやってくる脅威から人類を守る画期的な装置になるのかもしれない。
参考:「Daily Star」ほか
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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