24日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債(第374回)の流通利回りが1.005%に上昇(債券価格は下落)した。2012年4月以来、12年1カ月ぶりの高水準。日銀は今年3月、マイナス金利を解除し、金融政策を正常化した。長期金利は黒田東彦前日銀総裁が異次元金融緩和を導入する前の水準に上昇。国債取引も「金利のある世界」に戻りつつある。

 黒田氏は就任直後の13年4月、国債を大量購入する異次元緩和を打ち出し、その後、長期金利は低下傾向をたどった。16年2月にマイナス金利の適用を始めると、長期金利は同年7月、過去最低のマイナス0.3%まで低下した。

 だが、過度な金利低下で生命保険会社の運用難が深刻化するなど、副作用が目立つようになった。そこで日銀は16年9月、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作を採用。黒田氏の後任として23年4月に植田和男総裁が就任すると、長期金利の変動許容幅の上限を断続的に引き上げ、今年3月には大規模緩和に終止符を打った。

 日銀はその後も月間6兆円の国債買い入れを継続しているが、植田総裁は今月8日の講演で「今後、大規模緩和からの出口(戦略)を進めていく中で、減額していくことが適当だ」との考えを強調。市場では、日銀が早ければ6月の金融政策決定会合で本格的な購入減額を打ち出すとの観測から国債が売られ、金利上昇圧力が強まっている。

 ただ、長期金利が上昇すれば固定金利型住宅ローンの利率が上がるほか、政府の国債利払い費が膨らみ、財政悪化を招く恐れもある。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/05/24-16:19)

提供元・Business Journal

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