西川潤(いわきFC)
昨シーズンはクラブ史上初のJ2リーグに挑んだいわきFC。J3からカテゴリーを上げた初年度は、最終18位と苦しい戦いを強いられた。それでも夏場は7戦負けなし、シーズン終盤には昨季タイトルを獲得した町田ゼルビアから白星を挙げるなど一年を通して十分に存在感を見せていた。チームとして躍動した影響もあってか、冬には主力選手の多くがJ1やJ2他クラブへ流出。代わりに若く有望な選手たちを多く獲得したが、主軸が抜けた懸念を抱えての開幕だったことは間違いないだろう。
ところが、いざシーズンが始まってみると第16節終了時点で7位と躍進を果たしている。そんなチームの中心にいるのが、セレッソ大阪から期限付きで加入したMF西川潤だ。ドリブルでの推進力に加え、丁寧なラストパスや精度の高いミドルシュートで相手守備陣を脅かし攻撃を活性化。ここまで2ゴール2アシストと数字で見ると若干の物足りなさはあるが、チームの好調要因の1つであることは間違いない。パリ五輪世代の1人でもある西川。勝負の1年で好スタートを切っただけに、さらに個人としての評価を高められるか注目だ。
住吉ジェラニレショーン(清水エスパルス)
2023シーズン終了後、守備の要でありキャプテンでもあったDF鈴木義宜が京都サンガへ移籍してしまった清水エスパルス。今季は守備陣の再構築が必要となっていたが、サンフレッチェ広島から期限付きで獲得したDF住吉ジェラニレショーンの存在によってより攻撃的な守備陣へと変貌を遂げた。
圧倒的な身体能力の高さで前線へ供給されるボールを弾き返し、相手FWが起点になることを許さない。また、アグレッシブにボールを奪いに行くプレーで実際にゴールの起点にもなっている。第9節のヴァンフォーレ甲府戦では、ゲームの最終盤に値千金の先制点という形で移籍後初ゴールもマーク。
守備で見せる空中戦の高さに加え、優れたキッカーのそろう清水では今後もセットプレーを中心に得点源としても大いに期待できる。すでに清水のDF陣にとって、いなくてはならない選手の1人となっている住吉。早くもシーズン終了後の去就を心配するファンやサポーターも多いのではないだろうか。
福森晃斗(横浜FC)
今季J1からJ2クラブへ期限付き加入した選手が多くいる中でも抜群の存在感を示しているのが、北海道コンサドーレ札幌から横浜FCへと加入したDF福森晃斗だ。もともと高精度の左足には定評があり、セットプレーでのアシストはもちろん直接フリーキックから美しいシュートを数多くゴールネットへ突き刺してきた。
久々にJ2クラブでシーズンを迎えた今季、ここまでゴールこそないもののその左足の威力は健在。セットプレーを中心に質の高いキックを披露し、すでに8アシストとチームの勝利に大きく貢献している。今季の横浜FCには、開幕直後に怪我を負ってしまったFW森海渡も含め、FW櫻川ソロモンや開幕後に加入したFW髙橋利樹など高さと強さを持ち合わせるターゲットが多く在籍しており、誰が出場していても福森のキックが活きる環境となっている。
むしろ、所属元の札幌が得点力不足に陥っている現状を考えれば、今すぐにでも帰ってきてほしい存在ではないだろうか。1年でのJ1復帰を目指す今季の横浜FC。その目標達成は福森の左足に懸かっていると言っても過言ではない。