■ただの『もの』ではなく、神の鎮まるお宮を造る」

●伊勢宮忠(三重県)× 神棚

日本で最も格式の高い神社・伊勢神宮。そのお膝元で神棚を作り続けて八十余年となるのが、「伊勢 宮忠」(以下宮忠)だ。

伊勢の神棚職人の工房は、伊勢神宮の宮大工にルーツを持つ。なかでも宮忠は技術だけではなく、素材も伊勢神宮の神殿と同じものにこだわる。それが木曽檜と呼ばれる木材だ。

雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。静謐な木材で作る小さな神殿
(画像=宮忠の神棚造りには、各工程で職人がいる。鉋がけを手掛ける宮師、『男の隠れ家デジタル』より 引用)

この名称は決められた国有林で生育した、樹齢150年から300年の天然木の檜のみに許されるもの。しかも素木のまま使うためには風雨にさらして樹脂を抜いた後、年単位で自然乾燥を行う必要がある。伐採した後も使用するまでに長い時間を要する。

この木曽檜を使い、職人たちが柱や小さな部品まで一つずつ仕上げを行う。木材の角を丸くする「面取り」も行い、飾り金具もミリ単位の釘を使って打ち付けられる。規模が異なるだけで、宮を建てる行程と同じことを行っている。

雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。静謐な木材で作る小さな神殿
(画像=ノミを使って細かな装飾を手がける彫師、『男の隠れ家デジタル』より 引用)

「茅葺三社宮」は内陣に三枚のお神札を納めることができるため、多様なご利益を求める現代社会のニーズに合っているといえよう。しかし造りは伝統的。その素材となる木曽檜だけでなく、屋根を形成する茅葺までが伊勢神宮の神殿と同じ技を踏襲している。

この茅は伊勢近郊で取れる天然モノを使用している。そもそも茅は日本のどこにでも見られたイネ科の植物だったが、開発が進んだ現代では見る機会が減った。

その一方で、使われなくなった田畑に茅が生い茂ることが過疎地などでは問題になっている。宮忠は、三重県内のそのような場所へ職人を派遣し、土地の人から許可を得て茅を収穫している。

雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。静謐な木材で作る小さな神殿
(画像=さらに茅葺き屋根にも茅葺師がおり、それぞれが腕を振るっている、『男の隠れ家デジタル』より 引用)

こうした自然素材を使うことは、はからずもその土地の荒廃を防ぐことにもつながっている。宮忠は茅葺の伝統とともに伊勢の風土を守ることにも貢献している。

そして収穫した茅の一本ずつの大きさや太さを見極め、均一に整えていくのが職人の技。こうして出来上がった神棚は、まさに神様が鎮まるのにふさわしい立派な「建築物」なのである。

【商品概要】
製品名:茅葺神棚 三社宮 大 K-7
価 格:19万円
サイズ:幅75.9×高さ51×奥行32.5cm
重量:約7.5kg
素材:木曽檜、茅

伊勢 宮忠
創業は昭和13年(1938)で、宮造りをメインとしていたが戦後に神棚造りへ。その普及に大きく貢献した。
三重県伊勢市岡本1-2-38
TEL:0120-07-4138

提供元・男の隠れ家デジタル

【関連記事】
【名車リスト85選】古いクルマってなぜこんなにも魅かれるのだろう?往年の名車とオーナーの物語|憧れのクラシックカースタイル
時を超えて美しい姿を留める「現存十二天守」の城を歩く。|それぞれに異なる城の魅力を徹底的に探ってみたい
かつて夢見た仕事に縛られない暮らし——働き方も暮らしも変われば海外移住も夢ではない
山城・古戦場・歴史道ベスト34|見ているだけで癒される歴史スポット
ひとり家呑みのススメ。~14人のひとり家呑み部屋~